昨日は病院の日。

あまりにも混んでいてのけぞりそうになったが

注射だけで診察なしなのであっという間。


予想よりもだいぶ早く終わったので、思い立ってネルケンへ。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」がかかっていた。

「皇帝」はしばらく生で聴いておらず、折りしも7月にオーケを聴きに行く予約をしたところだったこともあり、集中して聴く。

「皇帝」のあとにさて、と立ち上がると、次はサティだった。

どうやら昨日のマダムはピアノの気分なようである。


高円寺の商店街をぶらぶらと流し、そういえばと器を求めて

伊藤陶器店へ。

小鉢を眺めていると店主らしき年配の男性がやってきて、

「その小鉢、ぜんぶ半額にしますよ」という。

え?という顔をすると、「小鉢だけでなくて、それ以外もぜんぶ」とおっしゃる。

「え??そうなんですか、それはありがとうございます」、というと

実は近々店を閉店すること、4月から閉店セールをおこなうこと、

ただし閉店セールなどのチラシを入れてしまうとすごく混んでしまって接客が手に負えないので、

張り紙とクチコミだけで閉店セールをおこなうのだ、というようなことを教えてくださった。

しかも4月1日からのセールは陶器はすべて30%オフなんだけどね、といいつつ

でも半額でいいです、というではないか。

なんでも、最初からぜんぶ半額にしてしまうと高額なものから売れてしまい、

仕入値を割ることもある。いくら赤字覚悟とはいえ、やはりそれはつらいのです、とのこと。

確かに伊藤陶器店は私などが普段づかいにするには勇気がいる金額の陶器まで売っていたりする。


伊藤陶器店は地域密着型の結構古い店である。

昔は街に1軒は必ずあったような、茶碗や湯呑みや小鉢や平皿が積んであったり、

奥のほうにはちょっと値がはる品物が置いてあるような店。

ガラスの器もあるし洋食器もある。

価格もいろいろで、たとえば2万円の湯呑み茶碗、とかもある。5万円の有田の皿、とかもある。

もちろんふだん使いとして抵抗がない価格の陶器もたくさんある。


「閉めちゃうんですか?お店、とても昔からあるのに残念ですね」と

理由を聴いていいか考えあぐねてそれだけいうと、

理由はちょっといえないのだけれども、高円寺で店を開いてから70年、自分は2代目で、先代の店をなくすのは断腸の思いだが致し方ない、とおっしゃる。


そうですか、それならせっかくなのでちょっとじっくり、買うもの選ばせいただきますね、

と本当にじっくりと商品を見ていると、

そこに地元の信用金庫の担当らしき方がやってきた。

どうもその方はお店が閉店になることを今日まで知らなかったそうで、

どうしたんですか?と聞きにきたのである。

私には理由はいえない、とおっしゃったご主人だが、

やはり信用金庫の方にはいわないといけないと思ったらしい。

聞くつもりはなくとも店には私ひとりだったのですべての会話が耳に入ってしまい、

そのため私はすべての理由を知ることとなった。


が。「理由はいえない」と最初に言われた店主の気持ちを尊重して、

ここではその理由には触れないでおきます。

別にびっくり!というような理由でもなく、よくある理由だったし、

1年後にはその理由もすべて道行くひとにわかるような、そんな感じなのだけれども。

それでもやっぱり70年も守ってきた店を辞める決断をするというのはすごくつらいものだと思う。

それはよくわかるから。


さて。

それなのになぜこんなに長々とこの話を書いているんだと思われる、

そこの陶器が欲しいみなさん。

伊藤陶器ではただいま、すべての陶器が50%オフですよ!

4月からは地元のひとにセール情報が広まってしまうので、たぶんすぐにいい商品はなくなっちゃうと思います。

ので、気になる方はぜひ行ってみてください。

高円寺の南口のパル商店街という、アーケードの商店街を駅を背にして5分くらい直進した右手にあります。


「ぜひお友だちなどに宣伝してください、チラシには出さないので」と、

じっくりと選んだ小鉢(1000円のものを5個、合計5000円が2500円に!)を

これください!とレジに持っていくと、ひとつひとつ丁寧に包んでくださりながら

店主さんに頼まれたのでした。


昨日は手持ちのお金があまりなかったので小鉢だけを買ったきたのだけれども

本当はあれもこれも欲しいものがあったので、

日を変えてまた行ってみようと思う。

ですがまあ、ひとことだけお断りしておくと、伊藤陶器店は、よくもわるくも街の陶器屋さん、です。

私はこういうお店が結構好きなんだけれども。


伊藤陶器店で買った小鉢をぶらぶら提げて中野へ戻ってから、

夫が食べたいといっていたきなこだんごを買いに薬師の商店街へ。

しかしなんとショーケースにきなこんだんごがないではないか。

「ああっ、ないっ!!!」と思わず声に出したら、

「ないものはつくりますよー」とご主人。

売れるときはばたばたと、全部出ちゃってね、とにこにことみたらしをかき混ぜながらおっしゃる。

きなこだんごとみたらしだんごを購入。どちらもできたて。

夫のよろこぶ顔を目に浮かべながら帰宅し、

仕事の仕上げをする。



朝ごはん。

夫は昨日のこりの鮭とクッ。

私はベーコンエッグとジャムバタートースト。


昼ごはん。

ネルケンにてチーズトーストとロイヤルミルクティ。

黄金の組み合わせだ。


夜ごはん。

ビビムパ、豆腐の味噌汁、木耳と卵とニラの中華炒め、納豆。

ナムルづくりもだいぶ板についてきました。