家から駅まで行く途中に小劇場が4つほどある。
前は2つだったのだがさらに2つ増えた。
中野に引っ越してきてもっともびっくりしたことのひとつは
小劇場に通うひとがこんなにもいるんだ!ということ。
演劇はそういえばジャンルとしてかなり暗く
ほとんど見に行ったことがない。
数回、三谷さんのを見に行った、くらい。
だからこんなにも演劇を見に行くひとがいるんだ!
そして毎日毎日、演劇が上演されているんだ!ということにとても驚く。
そんなわけで。
その劇場で公演をする俳優さんたちをかなり頻繁に見かけるのだが。
小劇場とはいえそこそこ有名な劇場らしいので、
一般的に有名なひと、や劇団、も公演している。
だから一般的に有名なひと、などもわりと頻繁に見かける。
そのたびに思うのが。
一般的に有名なひと、というのは
どうして「そのほか」と違って見えるのか、である。
たとえたいして顔も名前も知らないひとであっても、
テレビの連続ドラマなどに出ていた、というようなひとと
「そのほか」のひととの違いは顕著だ。
劇場の外に10人くらいのひとがかたまってしゃべっているような状況で、
10メートルくらい先からでも、その「有名な人」というのはよく目立つ。
服装が違うわけでもない(たぶん)。
顔が目立つわけでもない(たぶん)。
でもやっぱり、なにかが違うのである。
オーラ、とよくいうことではあるけれども
オーラはみんなが持っている?ものであるならば
どうして有名な人は陰影が深く見えるのか。なぞである。
つい先週も、最近また連続ドラマに出ているらしい俳優さん(男性)が
みんなとしゃべっていたのだが、
やっぱりそのひとにだけ光があたっているように遠くからでも見えて、
近づくにつれて、あ、やっぱり有名なひとだった・・・と思ったのであった。
有名なひとといえば。
その昔。
松井秀喜さんを見かけたことがある。
まだ巨人にいて、確かメジャーに行く前年だったと思う。
ずいぶんと昔のことだ。
その頃、職場が銀座にあって、
その日も終電間際まで仕事をし、誰も通らないような細い裏通りから新橋駅に向かっていた。
裏通りには有名な蕎麦屋さんや和食屋さんがあるのだが。
その一軒から不意に、松井さんが出てきたのである。
冬の寒い日。
すらりと背が高く、上品な黒いフロックコートを着た松井さんは
とてもとても、格好良かった。
そうしてやはり光り輝いていた。
薄暗い闇のなかなのに。
ずうっと前に松井さんがインタビューに応えてていたのを見た。
毎試合出場するのは
ファンの子どもがお小遣いをはたいたり
地方からきてくれていたときに
試合に出場していないことでがっかりさせたくないから。
・・・確か、怪我をしないのはすごいですね、
毎試合出場するのはすごいすね、
という意味の質問に対して。そういうようなことをいっていて。
ああすごいな、いいな、と思ったのだ。
それ以来、野球の選手では松井さんが好きだ。
きっととてもつらい思いをしたんだろうな。
と。だから今年はよく思っていた。
来年は毎試合、出場できるといいなと思う。
浅田次郎さんの「月島慕情」
三島由紀夫の「夜会服」
を読了する。
「月島慕情」は短編集なのだが
お風呂の中で読んでいて
「雪鰻」と「シューシャインボーイ」のところで号泣してしまった。
お風呂でよかった・・・。電車だったら大変だ。