帰省。
朝、東京を出て昼前に長野に着き、
夜には東京に戻るという、乗り物に極度に弱い私にとってはありえない強行軍。
それもこれも、結婚式のためである。

なにも披露宴的なものがないはなばなしさに欠ける食事会なので
せめてもの彩り、かつ親孝行企画の一環として
プロフィールビデオくらいは作成することに。
したのは2ヶ月ほど前のこと。

恋人に、そういうわけだから子どもの頃の写真送ってもらってね、
というと、ものの数日間で京都の実家からアルバム一式が送られてきた。
のだが。
アルバム送るか写真を5~10枚送って欲しい、と最初に電話をしたときから
既に母は写真がありすぎて送れないし選べない、
親の目からかわいいと思うのと自分で見るのは違うから帰省してくれないかと言っており
何度かの押し問答の末(だって私は正直に言って、なんでも良いと思っていたのだ)、
結局私が折れて日帰り写真選定を行うことになったのである。

新幹線酔いのなか実家に行くと
アルバム(もちろんあの大きくて分厚いほう)がうず高く積まれている。
なにしろ母は写真が好きで生き甲斐でもあり、
家が火事になったら通帳や財布よりアルバムをぜんぶ持ち出すから
あんたたちは自分の身は自分で守って逃げなさいと幼少のみぎりより言われて育ったくらいなのである。
健気な子どもたちは、夜眠る前にしばしば、
本当に火事になったらでは兄は母を手伝ってアルバムを運びだし、
私は弟たちを誘導しようなどと相談していたものだ。

その大量のアルバムを前にし、くらくらしつつもさてやるか、と気合いを入れていると、
お母さんぜんぶ選んじゃったから見なくていいよ、とのたまう。
あ、あれ。。。おかしいな。

ほらねこれ見て、と母が取り出した写真たちは
確かにかなりよいセレクションである。

あーほんとね。
じゃあこれで決定!
と内心ほっとしながらいうと、
でもやっぱり見る?かわいいから、アルバム。

といって結局すべてのアルバムを見せられ、
そうすると母セレクション以外にもいろいろと気になる写真もあり、
ああでもないこうでもないと雁首つきあわせ写真選定をおこなったのでした。
ああ疲れた。

しかし久しぶりに幼少期のアルバムを見て思うのは
子どもという存在の天真爛漫さ。無垢さ。
そして無条件のかわいさ。おとなになると写真はやはりどこかつくりものめいているのだが
小学生の前半くらいまでの、
力いっぱいのにこにこ顔は
どの兄弟たちもみな素晴らしく美しく、
目が離せないちからがある、のである。

また有象無象の写真たちを見ると
父や母がいかに子どもたちを愛し、
兄は妹の私を、私は弟を、弟はちいさな弟を
それぞれいつくしみ、
また私は兄を、弟たちは兄と私を全身で頼り、
そんなかけがえのない幼少期の、記憶にはない、あるいは薄れてしまっているけれども
血肉となっていることがぜんぶぜんぶ伝わってきて
胸がきゅんとなるのだ。
幸せな子どもたちだなあと心から思う。
笑顔をみればわかる。

モノより思い出。
を、たくさんたくさんもらって、愛されて、
育ったことにたくさんの感謝をする。

だってこんなにもいつも
笑っているんだから。

おいしいものは人生をハッピーにする。-20091024013114.jpg

兄と私。兄の破顔がすごい。
そして70年代ファッションってかわいい。ですね。