プチ出張。
昨日までの疲れが出たらしく熱っぽい。
なんとか打ち合わせを終え、今日はこのまま直帰しようかと思う帰り道。
土曜日。
ご両親へのご挨拶、というのをする。
子どもたちへのプレゼントの本、手土産のお菓子、そしてお花が好きなおかあさんへのアレンジメントした花。
忘れものはないか何度も確認をし、憶えたばかりのかたことの韓国語も反芻する。
緊張するような家やあらへん。
とおかしそうに恋人は笑うけれども
緊張しないほうがおかしいだろう。
自分でもおかしいくらい、何度も何度も新幹線でトイレに行ってしまい、恋人にも笑われる。
最寄り駅にはお兄さんが車で迎えにくると、最寄り駅の直前で知らされたり
としの離れたお姉さんと、年子のお兄さん、と聞いていたのに
としの離れたお兄さんと、お兄さんと年子のお姉さん、というのも車中で聞いて、
え・・・家までまだ時間があると思っていたのに・・・とか
え・・・っていうかお姉さんって、つまり私と同い年ってことじゃん・・・とか、
そういう予定と異なるひとつひとつに焦る。小心な私。みんなそうなのだろうか?
しかし。
最寄り駅まで迎えに来てくれたお兄さんの、なんと爽やかなことか!
思えば恋人もとてもさわやかなタイプだった。
そうしてこの弟にこの兄あり、というそっくりぶり、かつ長兄だけある気遣いに
ほんのちょっとだけ緊張もほぐれつつ、恋人の家に到着する。
まあまあ、ようこそ。
とみんなに笑顔で迎えられ、
恋人のご両親、お兄さんとお兄さんの奥さん、その子どもたち、お姉さんとお姉さんのだんなさん、その子どもたち、総勢11名をひとりひとり、お父さんが紹介してくれ、
予想どおり男性陣とお姉さんはがばがばお酒をのみ、
子どもたちにプレゼントを渡したり、テーブルいっぱいの手作りの料理をいだいたりする。
基本的に始終、緊張はしていたものの、
本当に和やかに時間が過ぎる。
恋人の家族は、恋人がどうして恋人のようなひとになったのか、本当にわかる家族で、
みんながとてもあたたかく、また年の離れた末っ子の恋人をかわいがっている様子がものすごく伝わってきた。
結婚は大賛成であること、
安心した、よかった、ということを何度もいっていただきつつ、
結婚する前から同居していることには恋人ともども注意を受けつつ
(まあウチの親も反対はしていたし私もいいことと思っていたわけではなく致し方なかったわけなので、そのことをハラに貯められるよりも直接、言ってくれてよかったと思う)、
韓国人と結婚すること、国籍が違うことに反対はされなかったのかと聞かれたり
(ウチは反対もなにもないです、)
気さくなお姉さん(というかトシ同じだけど)には「さっさと結婚しちゃいなよ、1歳トシとってから結婚するよりその前がいいでしょ!!!女の子はトシ大事なんだから」といわれたり、
昔は怖かったと聞いていたお父さんも全然怖くない、あったかいひとだったし、お母さんもほがらかで元気でやさしいひとだったし、お兄さんは気遣いのひと!でお姉さんは気さくだし、
またそれぞれの奥さんやだんなさんも本当にいいひとたちで姪っ子甥っ子たちもかわいい。
極めつけに感激したのは、花束をプレゼントしてくれたことだ。
ちびのひとりが「ナオさん、ようこそ!」と、かたことで渡してくれたのだが、
こんなふうに歓迎の気持ちをあらわしてくれる家族って、とてもいいなと思ったのだ。
私もいつか兄弟の伴侶となるひとを迎えるときには、こんなふうに歓迎をしてあげたいなと思えるくらいに。
恋人の家を辞してから、
その足で式場の候補の下見まで済ませ(予約もしていなかったのになんとか)、
恋人の出身大学の教会に決定する。
恋人の両親はクリスチャンなので教会はきちんとしたところで、しかも恋人の出身大学の教会でしてほしい、というのは恋人のお母さんの口から食事のときに出てきたとだったし、
さらにはウチの母などは恋人と京都で結婚することが決まった瞬間からして勝手に「ナオは○○大学の教会で式をするから」と、家族に風説の流布をおこなうほど気に入っているところだ(兄の母校でもあるのでよく知っているのだ)し、
もともと私もそこの落ち着いた雰囲気が気に入っていて、恋人と結婚することになってからずっと、そこがいいなあとひそかに思っていて、
恋人のお母さん、私の母、そして私。
その3人がこころから満足できる場所、なんて早々ないだろう。
ということで、他を検討することもなく、
もうこれは天恵としかいいようがないくらいの勢いで決定してしまった。
すべてが済んだのは夜も遅い時間だったのだが
恋人は私が行きたいといっていたところ全部を案内してくれ、
ふたりでゆっくりと京都の町を散歩する。
ああこのひとと結婚するんだな。
それは決まっていたことなのに両親と会い、家族と会い、
故郷の道々をそぞろ歩くことで輪郭を伴い実感を持っていく。
翌日は恋人がよく食べに行っていたという店で食事。
ああ、全然味かわってへん!昔のままや!というお店は、とてもおいしかった。
さらにそこからしばらく先にある恋人の出身高校にも連れて行ってもらう。
東山の銀閣寺のすぐ隣にあって、山の一本道を登ると突然、校舎があらわれてびっくりとする。
誰もいない校舎のなかをぶらぶらと歩き、教室に入って誰かの席に座ったりする。
恋人はここで高校生活を送っていたんだなと思う。しみじみとそんなことを思う。
京都駅に戻り、駅のそばにある予備校まで見せてくれて
(あれが予備校や、かよっとったとこ、と突然いわれてびっくりした)
私が知る前の恋人のことをこんなふうにひとつひとつ教えてくれたことを
とてもうれしく思う。
東京駅に降り立ち、たった1日なのに数日間留守にしていたような気分を味わう。
それだけ密度が濃い時間だったということだろう。
式も予定よりだいぶ早くなりそうで
これから忙しくなりそうだ。
ただ私には歓迎してくれる家族と、恋人がいる。
そのことをとても心強く思う。
いただいたお花。