朝から恋人の病院。
終了後、喫茶店で暫く珈琲を飲み、
恋人は仕事関係の花見へ、私はジムへ。

かなり筋力を使いへとへとになったロッカーで、おばさま隊が
「この後、何食べいく?」「ラーメン?」
などと盛り上がっていた。
ジムの後にラーメン。
ううむ。

高円寺へ。
昨日も美容室の後に寄ったネルケンへ行き、
いまのところ世界でいちばんおいしいロイヤルミルクティとチーズトーストを所望。
ラーメンと大して変わらないカロリーだが。

私は辛いものを足して食べることが大好きだ。
もともと辛いものもいける口だが、足して食べる、すなわち薬味あるいは薬味的なもの。
七味唐辛子、わさび、辛子、ラー油、柚子胡椒、胡椒、そしてタバスコ。などなど。

チーズトーストとくれば当然タバスコである。
しかしここネルケンではチーズトーストにタバスコはつかない。
と昨日気がついた。

あの、タバスコありますか?と聞くと、
タバスコ?と世にも不思議なひとに出会った的なお顔をされつつ実際に、
タバスコ?あのミートソースにときどきかける?
と聞かれた。
そうですそうです、そのタバスコです。
というと、瓶の底にほんのちょっぴりの液体がへばりついたタバスコを出してくれた。
よほどタバスコの需要がないらしい。

そして今日。
ロイヤルミルクティとチーズトーストを、とお願いすると、暫くして世界でいちばんおいしいロイヤルミルクティと共に、チーズトーストとタバスコが出てきた。

あなた、タバスコ召し上がる方よね?
とマダム。
そうですそうです。と私。
今日のタバスコは封を切り終えた見るからに新品だ。
すみません、買ってきてくださったんですか?というと
いえいえ常備してますのよ、昨日はごめんなさいね。
と上品なマダムは笑っていう。

今日のネルケンはシューベルトとシューマン特集だ。
(昨日はサティだった)

途中から入ってきたカップルがクラシック喫茶にあるまじき声で話すのでまるぎこえである。

女「私クラシック全然聴かないから」
男「僕はまあ少しはね」
女「そうなんだ、あこの曲聞いたことある」
男「ああこれ。ショパンのほらなんだっけ」
女「これショパンなのふうん」
男「ノクターンじゃなくて月光(いやそれはそもそもショパンじゃないし)じゃなくて、あ、わかった、別れのなんとかだ、別れの」

その瞬間、私のまわりに三々五々座っていたひとたちが
みないっせいに、がばりと、
別れのなんとか男を注視した。

みな、いやこれはシューマンでしょ、トロイメライでしょ、という反応だ。

そして連れの女性はひそやかに男にいった。

「違うよ、これシューマン」

そのひとことで
名曲喫茶の空気はまたもとのように緩和されたのだった。

さて今夜はサッカーである。
帰ってカレーと韓国風のスープでも炊くとしよう。