ものすごい雷と雨。


まっすぐの稲光がなんどもなんども

付近の建物に落ちて、

耳をつんざくような轟音と

それだけでは足りないといわんばかりの

空全体に銅鑼がなり響いているような

ぐしゃぐしゃな音が続く。


今日の雨はとてもひどくて

ああ神様は怒っているのかも知れないねと

恋人とオーくん(恋人の会社のスタッフ)と話す。


神様は怒っている。

こころあたりはすごくあるのだ。


今日、河野義行さんの奥さまが亡くなった。

サリンを吸ったまま、一度も目ざめることなく。

痛ましい。

奥さまも、河野さんも。

おふたりのほんとうの気持ちなんて

想像することすら失礼じゃないかと思う。


誰でもいいから殺す。

最近そういうひとが増えていて

それはこのサリン事件も一緒だった。

イデオロギーやモチベーションは違っても、結末は一緒だ。


なんでこんな不穏なエネルギーに満ちているのだろう。

どうしてきちんと愛したりできないんだろう。

想像力が欠けているんだろう。


最近まで引きこもりをしていたオーくんが昨日いった。


最近、毎日が楽しくなってきたんです。


どうして?ときいたら、


愛を感じるようになったから。

といって笑った。


同居している彼女の献身的な愛と、

あとはここに来るようになったから。


ぼそぼそといつもみたいな口調だったけど

愛って大事なんですね。

そんなふうに言って笑ってた。


オーくん。

私もそう思うよ。


そうして愛は。

見ず知らずの誰かから

奪っていいものではないんだ。