美容室へ。

ずうっと通っていた神宮前の美容室には今回も行かなくて、

代わりに見つけた高円寺の美容室へ。

最初にいろいろと・・・つまり私はどういう風に美容師さんに接して欲しいかを話しているせいもあって

変なストレスもなくとても快適である。


すなわち私は美容師さんをプロとして信頼しているので、

こんなふうにしたいなというざっくりとした希望は伝えるけれども

細かい部分は任せたいと思っていること。

(そうでなければ美容師さんである意味はないと思っている)


全体としてこういうふうにありたいという理想のようなものは持っているけれども

その大きな理想のなかでヘアスタイルについては結構触れ幅があること。

(たとえば今回はちょっと元気な感じにしたいとか、今回はよりフェミニンにしたいとかそういうこと)


私がなぜ5年以上通い続けた神宮前の美容室を辞めて、

新しい美容室に変えようと思ったか、を、

その美容室の担当のMさん(店長さんでもある。神宮前のほうもそういえば「M」さんだ)に最初に話をする機会があって、

Mさんは、オレは美容師として、その前の美容師さんの気持ちもわかるから

もう一度、前の美容室に行ってもいいと思うよ。と、前回店を出るときに言ってくれたのだけれども、

私はMさんが提案してくれたヘアスタイルが気に入ったことと

自分のことをまだあまり知らない美容師さんと接する楽しさ、というか気遣わしくない感じ、が

ちょっと気に入ってしまって、

(ずっと同じ美容室に通っているひとなら、ちょっとこの「いろいろ知られていることの楽しさ半分、気遣わしさ半分」は分かっていただけるのではないかと思う)

なので結局、前の美容室へは行かずに、新しい方を今回も選んだ。


わわ、また来ちゃったの!?

とMさんは笑いながら言っていたけど。


Mさんとは話題もまだ探りあいながらも、結構年齢も近いので、

子どもの頃に見た特撮モノとか(サンバルカンは良かった!とかバトルフィーバーのバトルコサックの足さばきは傑作であるとか)、富永み~なは「タッチの上杉達也のライバル新田の妹である新田由香ちゃん」以外で誰の声をやっていたかとか、クリーミーマミのはじめの歌はなかなかいいとか、

そんなまあかなりどうでもいいような話がなかなか弾む。

おまけにMさんは10年近くバンドを組んでいたそうで、しかも中学校のときはRED WARRIORSのコピーをやっていたとかで、私は何を隠そう、中学校のときはREDSのYUKAIが大好きだったので(部屋にポスターまで貼っていた)、ロシアンヒルとか薔薇とワインなどを歌ってみたりしておおいに盛り上がるのだった。

まったく美容室で何をやっているんだかというところであるが。


今夜は恋人がそとごはんの日でもあるので、

恋人に夏物の服をプレゼントしたいな!と、高円寺のお店をいくつか物色をする。

あまりよいものがなくて、うろうろとしていたところで

当の恋人から電話で、飲みに行く前に家に戻って荷物を置いたけれどもこれでまたすぐに飲みに行くこと、

荷物があるのにどうしたのかと心配すると困るから電話をした、という電話だった。

こういうことで電話をしてくるようなひとではなかった。少なくとも昔は。

心配することでもないやん!余計な心配されるとうっとうしい、というくらいのタイプで

そのことでぶつかったりもしたけれども

一緒に暮らすことで、

私は無用な心配はしなくなったし、

恋人は心配をかけないようにするようになった。

いいなあ、これっていいなあ、とひとり悦に入りながら帰宅する。

(結局、オーガニックコットンのポロシャツとTシャツを、自宅近くのセレクトショップで発見したので

それをお土産にした)


今日はおおきな月が出ている。

家までの道々を、お月見をしながらぶらぶらとひとり、そぞろ歩く。


昨日の月もきれいだったが今日の月はぴかぴかとしてとてもきれいで、

そういえば最近の恋人は

月がきれいやとか、花が咲いているとか、

そういうことを口にするようにもなったなあと思う。あたたかく思う。

昔の恋人は、そういう、自然や風物を愛でることがまったくなかったのだ。


それでも、

すごい満月だよ、見て?とか。

すずむしが鳴いているよとか。

くちなしの香りがするねとか。

梅の実が落ちているねとか。


そんなことを隣でずうっと言い続けているせいか

あの花はなんていうのとか、

なんやめっちゃええにおいのあの花はなに?とか

あそこに飛んでいる蝶はなんていうの?とか

そういうことをたくさん口にするようになった。


そのたびに、

あれは夾竹桃だよとか沈丁花だよとか黒揚羽だよ、ふつうの揚羽は黄色いんだよとか

答えたりして、

それは確かにビジネスとか仕事がうまくいくとかまったく関係のないことだけれども

でもそれよりもよほどこころを満たすものものなのだと

思ったりする。幸せなことだと。


同じように私も

恋人の世界を理解しているだろうか?

そういう存在でありたいと思っているつもりではあるけれども。