ささやかな、とてもいいこと。

どうしてこういろいろなことが重なるんだろう。
というくらいに、ばたばたとしている身のまわり。

それでもこういうときには
ひとの本領が発揮される。
というかひとの本質を見る。

ほんとうは仕事をしないとまずいのだが
そんなわけで仕事は一時中断し
それよりもいま私がすべきこと、をしている。

今日の午後。
結婚式の2次会に出かけていく恋人を駅まで送りがてら
ちょっと足が疲れたので、モスバーガーに寄った。
（東高円寺の駅のまわりですこし休める店、というのはとても少ないのだ）
本をしばらく読み、疲れがとれたので自宅に戻って1時間あまり経った頃だろうか。

ちょっと大切なものをモスに忘れてきたことに気がついた。
忘れてきたとうよりも、正確にいうとトレーに置いたままゴミ箱に捨ててしまったのだ。
諦めようか、としばし逡巡したものの
だめもと、で再度、モスバーガーに行き、かくかくしかじかとお伝えすると、
お店の女の子たちが心配して、探しますよーと何度もいってくれる。
いやいやすごく見つかりにくいものだし、それにゴミのなかに手をつっこむなんていうことは
させたくなかったので、自分でやります、いいですといったら、
他にもあるごみ袋を、他のものがもう探し始めている、というので、
ゴミ置き場までいってみたら、男の人がごみをごそごそと分別しているところだった。
もう本当に、なんといってよいのやら。
いいですいいです、自分でやりますから！といったら、
いやいや大丈夫です、任せてください、と男性はいいながら、どんどんとゴミを分別していくのだ。
本当にスミマセン、と思いながら、
それなら私はこちらの袋を、と、違う袋の中を探していて、やっと袋の底に、失くし物を見つけた。

あった、ありました！といったら、
その男性は、わあよかったですねえ！とすごく喜んでくれて、
すみません、ご迷惑をということばにも、
いえいえむしろゴミがきれいになってよかったですよ！と明るく笑っている。

なんだかとても心が洗われるようなことだった。

ときどきこういう、
いいことがある。
ささやかな、とてもいいこと。

夜は帰ってきた恋人と
さばの干物といわしの丸干し、冷奴、しじみの味噌汁、キャベツとたまねぎのサラダを食べる。