一日雨。

時折激しく打ちつける雨を

しずかな部屋から眺める。


こういう時間の過ごしかたも

ときには悪くないと思う。


ベッドルームでは恋人が健やかに眠っていて

私はそうっと様子を見に行ったり

ときどき仕事をしたり

ソファで本を読んだりする。

静かな週末。


朝は恋人がフライドエッグとベーコンを焼いてくれる。

ここのところ私が朝ごはんをつくるより

恋人がつくるほうが断然多い。

ふわふわに焼けたとうれしそうにフライパン返しを使ったりしている。


昼過ぎに散歩。

雨がとてもひどいけれども

外に出たいねと街をぶらぶらとする。

喫茶店で珈琲を飲んだり、スーパーマーケットで晩ご飯の食材を選んだり。


夜はしじみ汁かあさり汁をつくりたいから

貝をえらんで?といって貝コーナーに行ったら

パックづめのあさりがまだ生きている!すげえ!!すげえ!!!といって

はしからあさりをつっついて歩いていて

それを後ろから見ているのがとても楽しい。


夕方、マジック銭湯へ。

今日はマジシャンのご主人がいて、

マジックショーやるから見ていかない?と湯上りに声をかけられた。

うわあうれしい!と恋人と一緒に観覧。

というか、女性は私しかいなかったせいもあり、

カードを選んだり、手を差し出したりするようなひとに指名されてしまい

おおいに焦る。


というのも実はあまりにのんびり入りすぎたのであつくてのぼせかかっていたのと

家まで歩いて1分という立地とで

ええいこのまま帰っちゃえ!と恋人から借りたぶかぶかのTシャツの下は裸体、だったのである。

(念のため油断していたのは上だけです。下はちゃんと履いてました)

イチオウ、大判のバスタオルを肩からかけていたので

自分としてはカヴァしたつもりにもなっていたせいもある。


しかしマジックショーはすぐにも始まらんとする中、

ソレを付けるために中座するのも無粋だなあとそのまま

マジシャンにいちばん近い席に座ってしまっていたのだった。


そんなあられもない状態なのに、

みんなが私の手元に注目するし、

折角肩からかけていたバスタオルも

マジックの邪魔になるからとひざの上に移動させられ

しかも「胸元に手を持っていって」みたいなカードマジックもあったりして

かなりあわあわ状態。


さらにマジックが終わって、

ソファでしばし歓談していたら、

マジシャンさんが恋人と私の背中をぽん!と触って、

なに、ふたりは近くに住んでいるの?とか言いかけてひとこと。


あ、あれ?

彼女、○○付けてないじゃん・・・ごめん・・・

っていうか、ダメだよー、付けなきゃーいくら近所だからって、若い女性が!!!

田舎の××じゃないんだからさあ


と、相当いなされてしまいました。


ダンナ寛大だねえ。

まあダンナがいいっていうならいいけどさ、

でも、だめだよー!!


って。


私よりも恋人が恥ずかしかったのではないだろうか。

ああすまないことをしてしまった。

ごめんね、恥ずかしかったよね?とあとで謝ったら

暑いし近くだしだいじょうぶやでと言ってはくれましたが。

しかしもうしません。反省。


ともあれマジックは本当にすごい!もので、

しかもそのマジシャンさんは、

マジック世界ランキング25位!という本物のマジシャンで、

その技のすばらしいことといったら。

実に楽しい銭湯なのでした。


帰宅後に、代表戦(サッカー)を観戦。

しながら晩ご飯。


今夜は買ってきたお刺身をたくさんのせた、ちらし寿司をつくる。

あとはしじみ汁と冷奴、ペチュキムチ、キャベツとたまねぎのサラダ、餃子。


須賀敦子さんの「ヴェネツィアの宿」を読み始める。

ああ旅に出たい。