今日はいちにちぽかぽかとあたたかく
昼間ほした布団をとりいれると
太陽のにおいがする。
あったかくてぽかぽかとした。そんなにおい。

昨日Sちゃんと会ってランチをしていたときに
春だねいい季節になったね、といったら、

そうだよね、けど私はどういうわけか、
誰もが明るい気持ちに満ち溢れるような春のうららかな午後に
ときどきものすごくものがなしくなるんだよ、

と彼女はいって、
どうしてだろうね、と首をかしげた。

春がきらいなわけではなくて、
でもわけもなくものがなしいというのをおさえることができない、
いまはだいぶものがなしくなることは減ったけれども、
昔はほんとうにものがなしくなった、と。

私にも、わけもなくものながなしいという感情が沸き起こることがあって
だからその気持ちはよくわかるなあと思いながら
彼女の話を聞いていた。

それなのに。
いまの私にはどうしても、そのわけもなくものがなしい、というときの
条件を思い出すことができなくて

昨日も話を聞きながら、
次の再会を約して家路についているあいだ、
夜、ベッドに入ってから、
ずぅっと考えているのにどうしても思い出せない。

たとえばうつくしい音楽を聴いたり絵を見たりしたときにおそわれる感情や涙は
ものがなしいとは違うだろう。

それとか私は「出発」というシチュエイションにけっこう弱くて、
飛行機が離陸するときとか、新幹線が発車するときとか、
機内アナウンスが入るとものすごくぐっとくるのだが
それともちょっと違う気がする。

なにかもっと、わけもないものがなしさにおそわれたことが
確かに何度もあったはずなのに
なぜかいまの私にはまったく思い出すことができない。
だから良いとか悪いとかそういうことでもないのだけれど。

すこしだけ残っていた夕日が落ちて
気がついたらもうすっかりと夜。

明日も晴れるだろうか。