行きたいところといえば、
恋人と旅行にいこうかという話になっている。

会社を立ち上げて、仕事が落ち着いたらどこかいこうと
ずっと前から言っていて、
落ち着いたかといえばもちろん落ち着いていないので、
(だいたい落ち着くっていったいどういう状態なのかわからない、もはや)
だからそれは私へのねぎらいという気持ちがたぶんとても強い。
うれしいことだ。

旅行といっても近場の温泉に1泊、というくらいなのだが
それでもとてもうれしい。

私は旅行がとても好きだ。
一人旅も大好きだけれども、好きなひとといく旅行は
大好きな一人旅にはるかに勝る。

だいたい私が旅に求めるのは、
秘境とか自然とか文化とか歴史とか、あるいはなにもしないこととか、そういった類のもので、
一方で恋人は街とか遊行とかアドベンチャーを好む。

温泉しかないところなんてありえへん、だし、
とてもびっくりしたのは、日光に旅行に行って東照宮の真裏の宿をとったのに、
東照宮には行かずに釣堀に行ったことだ。
熱海に行ったときは、とても古いつくりのパチンコ屋さんが、もっとも心に残っているという。
夜に空いているお店がほとんどない西表では、この島のひとたちは夜はなにをしてるんやろといっていた。

ぜんぜん違う。
私の行きたいところ、したいこととはぜんぜん違う。

それでも恋人と一緒の旅行はうれしい。
どこにいこうか?マイレージが貯まっているから飛行機に乗るところでもいいよね?とか、
中央線の先のほうにある温泉だったら、近くてのんびりできるからそのほうがいいかなとか、
温泉街があるところがいいねとか、
そういう話をぽつぽつとして、なんだかうれしい夜なのだ。