私がいま所属しているセクションは、
インターネットやモバイルのサービスに関するコンサルテーションを行うというのが
主な仕事内容です。

ある部署や会社が、どうも目的に見合った効果を取得できていないから、
サイトのリニュアルをしたいなとか、あるいはサイトがないから立ち上げたいなとか思ったときに、
部署や私個人などに、相談がきて、
これは出動だ!という案件については、サイト構築の目的設定からはじまり、サイトを利用するユーザターゲティング、モデリング、デザイン、構築まで、プロジェクト全体をを支援していく、という感じ。

なので、その過程においてものすごくたくさんのひとがかかわってきます。
特にキーパーソンとなるのは、私のカウンターパートナーとなる、案件の企画者(サイトを立ち上げたいなと思った部署の担当者)。
この企画担当次第で、プロジェクトのすすめかたは結構異なります。

コンサルテーションということだけでいうと、
もちろん私のいうことを、そうですねそうですねと受け容れてくれるひとのほうがやりやすい。
でも私はそういうのは全然いいと思っていなくて、
私はサイト構築が仕事だけど、企画担当はそのマーケットのプロなので、要は得意分野が違うというだけなのだから、企画担当の得意分野であるところは十全に発揮して欲しい。
そうでないと、結局、プロジェクトはうまくいかないし、アウトプット物の成果が悪くなるのです。
それにそもそも企画担当がなんでも…つまりサイト構築までものすごくできちゃうひとだと、逆にコンサルテーションなんていらないわけでもある。

あととても大事だと思っているのは、自分の得意分野を発揮する、
さらにその上で、世の中を変えたいとか、いいものをつくりたいとか、真にユーザのためになるものをつくりたいとか、そういう意志をもって仕事に取り組んでほしいと思っていて、そうであればあるほど、私もがんばれる、という感じなのだ。

もちろん、企画担当にもいろいろなひとがいて、
そもそもやる気がない、というひとはほとんどいないのだが、そのやる気、がから回るタイプや、知識がまったくないタイプ、完璧主義だとか優柔不断、上司にはおもねる、などなど。
企画担当は私を選べるけれども、私は企画担当を選べないので、タイプによってプロジェクトの進め方はかなり変えていて、やる気はあるけどスキルがない、というひとにはスキルを教えるし、自分の成果にしたがるひとには、会議での発言は担当者からさせるし、たとえば上司におもねるタイプの場合は、あらかじめ上司とコミットしておく、ということだってやる。
どうしても企画担当が・・・という場合は、もう一人別の担当をつけてサポートさせるように組織に働きかけることだってある。
とまあ、そんな感じで、そういうのをどちらかというと無意識にというか、やり続けているわけだ。
私も発展途上だから、悩むことも落ち込むこともあるけれども、おおむねそんな感じで仕事をしている。
こいつホントどうにかしてくれよ、という企画担当だっているけれども、そのどうにかしてくれよ、をどうにかなるようにもっていくことも仕事のうちだ。
だって誰だって最初はできなくて当たり前で、コミュニケーション能力にばらつきがあるのは当たり前で、だけどみんなが気持ちよく仕事できた方がいいに決まっているし、くどいようだがそうしてはじめて成果物というのはすばらしいものができるというわけだ。

と、前置きが長くなってしまったが(ここまでは前置きです。すみません)。
いまそんな私のセクションで、「仕事がやりにくい企画担当を教えて下さい」というアンケート調査がまわっている。
仕事がやりにくい企画担当を実名で3名まであげて、そのひとたちの具体的不満点(スキルが低いとかコミィニケーション力がないとか、優柔不断だとか)を挙げ、それによりできたタイプにより全企画担当をタイプ分類し、そのタイプ分類にしたがって打ち手をつくりだし、より我々のコンサルテーション強化をしようという主旨。

ばかじゃないかと思う。

なぜそんなことのために、実名で、仕事相手の短所をあげつらわねばならないのだ。
それをみんなに共有しないといけないのだ。

もちろんこういうやりかたはおかしいと抗議はしたが、
セクション長がそれによって変更したのは、実名をイニシャルに変更して提出すること、という一点だけ。
この調査を設計しているひとと、運用するひとは、しかしイニシャルの「そのひと」が誰かを、アンケート提出者にヒアリングされるという。なんだそれ。

だいたい自分たちのコンサルテーション力の低さを、
こんなふうにしないと改善できないのか。
ほんとうにばかじゃないかと思う。

とりあえず無視しようと思っていたら、
アンケートを早く出すようにという督促メールがやってきた。
事務局担当にはまあ罪はないといえばなく、彼らは与えられた業務をやっているだけなので仕方ないのだが、
あまりにもばかばかしくてくだらない。
私にはそんなアンケートにこたえるなんてこと、
どうしたってできないのだ。