病院の帰りは、散財のつづきです。

お式までにきものにあうバッグを買わなきゃだわ!
と思っていたので、その下見。
洋装のバッグでもきものにあうものもあると、参考にしている本には書いてあったのだけれども、
残念ながら私が持っているバッグにはそれに該当しそうなものはない。

本屋さんできもの雑誌を数冊立ち読みしたうえで、
めぼしをつけていた銀座くのやへ。
くのやは先週、ちょっとだけなかを見ていて、素敵なバッグがあるなあと気になっていたお店。
今日は改めて、やる気満々の風情でのぞんだせいか、
バッグ担当という年配の男性が担当してくださる。

礼装用で、でも普段にも使いたくて、というような話などをいろいろすると、
それならばといくつもバッグを出してくれる。

わけても気に入った、複数の紋を組み合わせた小ぶりのバッグ。
朱色とうす桃色のあいだくらいの色合いで、グラデーションが美しく、今度のきものにもぴたりと合いそうだし、ほかのきものにも合いそうだ。
(と、もう「次のきもの」を考えているところが我ながらおんな、である)

いろいろとためつすがめつしつつも、やはりこれが・・・といったら、
店頭にはまだ並べていないんですけどね、と奥から同じおおきさで色の、しかし紋違いのバッグを引っ張り出してきてくださる。
こちらは荒磯という、鯉が紋になったもの。

せっかく出してきてくださったのに申し訳ないけれども、
やはりはじめの幾何学のような紋のくみあわせがおもしろいし好きだといったら、
お店のかたは、しかし私はあなたにはこちらの荒磯のほうが合うと思う、やさしい雰囲気ですしね、あくまで私見ですけれどもね、とおっしゃる。

やさしい雰囲気。
それは私が目指すところなので、
やさしい雰囲気を出すためにも、それなら荒磯にしようかしら、といったら、
いや、あなたはやさしい雰囲気だから、それで荒磯が似合っているんですよとかさねておっしゃる。

やさしい雰囲気。
そうなの?私、そうなの?
お世辞でもうれしい。

そうしてうれしいせいもあるのかないのか、やはり持ち比べてみると、
最初のバッグだとバッグに目がいってしまうし、荒磯のほうが持ち重りがしないというか、どんなものにもよりそえる気がとてもしてくるのだ。

それを伝えると、そうでしょうそうでしょうと、おじいちゃんのようなその男性は目を細める。

ということで、もうこのバッグで迷うことはないと判断し、お買い上げ。
下見に来ただけのはずだったのだが。。。

ところで今回は、あと髪飾りをほしいなと思っていて、それもくのやさんにおいていないですかときいたところ、
うちもあるけど、べっ甲で高価だし、種類も少なくておすすめできない、
このあたりだと松屋さんにいくといいですよ、と教えてくださる。
ただ目の保養に、べっ甲もみていくといいといわれ、目を肥やしてから松屋へ。
なるほど確かに松屋の呉服売り場は小物が充実。くのやさんに感謝である。

しかしそこで私の目は、髪飾りではなく印傳の小物入れに釘付けに。
きものも買ったしバッグも買った。
しかしどう考えても私が持っているお財布や名刺入れは、今回の和装にまったくあわないと思い始めていたせいであろう。
(なにしろポールスミスの虹のしましまである。黒留袖には似合うかもしれないけれども)
お財布も名刺入れもここ5年くらいずっと同じものを使っていたので、
まあいい機会だし・・・と自分を軽く納得させ、印傳の財布と名刺入れを買う。
財布は赤、小物入れは濃紺で、いずれも波の文様。きれい。

今日も散財である。
そして髪飾りは未購入。

それからやっと帰宅。
遅れること数時間で恋人も帰宅。
いつもは「腹減った」か「つかれた」か「暑い」が第一声の恋人ですが、
今夜は「ほんまよかったな、病院」。
病院のあとはぶらぶらしとったん?というので、うん、ぶらぶらしてたーとこたえる。

晩ご飯はひれとロースのかつ、浅漬け、キャベツのせんぎり、しじみの味噌汁、大とろの刺身。
最近はちょと品数を減らし、ヘルシー目にしています。

夜のデザートは果物屋さんで買ってきたピオーネ。
初めて食べる種類の葡萄ですが、とてもおいしい。満足です。

乾くるみさんの「イニシエーションラブ」を読了。
最後の二行でどんでん返し、絶対に最後の二行は読んじゃダメ、そして最後の二行を読んだら、もう一度本書を読まずにいられない、くらいに帯に書いてあって、なんだそれはと思い読んでみる。
軽い語り口なのですいすい読んでしまったが、はてこれのどこがどんでん返しなんだ?とまったくわからない。
いまいちだなあと思い、読後5時間くらいして、家でキャベツを千切りにしているときに、はっと最後二行、の意味がわかる。
あっと声をあげてしまい、危うく包丁を落としそうになりました。