恋人とときどき行くお好み焼き屋さんでは
いつもちょっと懐かしい曲がかかっている。
小学校くらいから、社会人になりたてくらいまでの時代の曲。

音楽というのは記憶と密接に結びついているから、
そのときどきのことをふと思い出したりしながら
お好み焼きを食べる。

ああこの曲、高校の文化祭のステージで歌っているひとがいたなあとか。
あの冬はどこへいってもこの曲がかかっていたなあとか。
この曲、カラオケでよく歌ったなあとか。

カラオケといえば、私が高校生のとき、カラオケは全盛期で、
なにかといえばカラオケに行っていたように思う。
私が通っていた田舎の高校はとても自由な風土で、みんな私服で通っていたし、授業も単位をとってしまえば、あとは適当、のような部分もあった。
と思っていたのは私だけかもしれないが、授業を早退けして、仲良しグループで歌いにいったりしていたように記憶している。
一緒に歌いにいった女の子たちは、みんなお母さんになったり奥さんになったりしていて、結局みんな田舎に戻って、そうして元気でやっている。

そんな具合にどんどんとひとりで時間や場所をあたまのなかで移動して、
でもいつも目の前には、うまいうまいといいながらお好み焼きを食べる恋人がいて、
あー腹いっぱいやと満足そうにいう恋人がいて、
私はここにいることにいっぱいの安心と満足とを憶える。いつもそう。

そういえば。
この前食べに行ったとき、途中でレベッカの「FRIENDS」という曲がかかっていた。
この曲にリアルタイム感はないのだけれども、それでも耳なじみはある曲だ。
たしか小学校の後半か中学校の前半くらいの曲ではなかったか。

指をつないだら、oh friends ときがとまる 気がした

という歌詞があって、なるほどと思う。
そう、手をつなぐ、のではなくて、指をつなぐ、なのだ。
いとしい気持ちがいっぱいになると。