いつにもまして暑い日は続いているけれど
確実に秋は忍び寄っていて、そう思うと淋しくなる。
気がつけばずいぶんと日も短くなってきた。
街を歩けばショウウィンドウは秋物ばかりだし
このあいだは新秋刀魚をいただいた。
今年はとりわけ梅雨が長かったせいで
夏はまだはじまったばかりだから
秋がくるのはまだまだずっと先のように勝手に思い込んでいたのに
やっぱり暦はうそをつかない。
暦と、そうして太陽のうごきとは。
秋が決してきらいなわけではないのに
夏がとても好きだから
秋がくるのを必要以上に恐れてしまう。
こんなふうに夏を好きになったのは、
それでもここ数年のことではなかったか。
以前は暑いのはどちらかというと嫌いなくらいだったのだ。
もちろん寒いのはもっと嫌いであるけれども。
なぜ夏がこんなにも好きになったのかはぜんぜんわからないのだが。
夏の夜の雰囲気が好きだ。
あのいつまでもだらだらと続いていく感じ。
ようやっと日が落ちて、じりじりとした太陽から解放された夜。
それでもねっとりとして湿気があって、
そこかしこに同じようにいるひとの気配があって。
わかるだろうか。
そんななかを意味もなく目的地もなくぶらぶらとして歩くのが好きだ。
終わらない感じがするから。終わらなくて、そうして自由で。
ずうっと歩き続けられるなあといつだって思う。
ひとりだっていいし
たいせつなひとと一緒ならもっといい。
いつだって思う。
そうしてまた思う。
たいせつなひとと一緒ならいつだっていい。
でも夏の夜ならもっといい。
自由で。終わらなくて。濃密な夜。
流星を見るのを忘れていて
狭いベランダから空をずっと眺めた。
もう流星は終わってしまったようでひとつも星は流れたりしない。
あるべき場所にちらちらとしているだけだ。
それでも夏の夜だから
星が流れなくたってかまわない。
そう思ってずっと星を見ていたらふくらはぎを蚊に刺された。
部屋のなかからはちりちりと風鈴のおと。
蚊取り線香のほそいけむり。
隣の庭ではじりじりと夜蝉が鳴いていて
またひとつ夏の夜が過ぎる。
確実に秋は忍び寄っていて、そう思うと淋しくなる。
気がつけばずいぶんと日も短くなってきた。
街を歩けばショウウィンドウは秋物ばかりだし
このあいだは新秋刀魚をいただいた。
今年はとりわけ梅雨が長かったせいで
夏はまだはじまったばかりだから
秋がくるのはまだまだずっと先のように勝手に思い込んでいたのに
やっぱり暦はうそをつかない。
暦と、そうして太陽のうごきとは。
秋が決してきらいなわけではないのに
夏がとても好きだから
秋がくるのを必要以上に恐れてしまう。
こんなふうに夏を好きになったのは、
それでもここ数年のことではなかったか。
以前は暑いのはどちらかというと嫌いなくらいだったのだ。
もちろん寒いのはもっと嫌いであるけれども。
なぜ夏がこんなにも好きになったのかはぜんぜんわからないのだが。
夏の夜の雰囲気が好きだ。
あのいつまでもだらだらと続いていく感じ。
ようやっと日が落ちて、じりじりとした太陽から解放された夜。
それでもねっとりとして湿気があって、
そこかしこに同じようにいるひとの気配があって。
わかるだろうか。
そんななかを意味もなく目的地もなくぶらぶらとして歩くのが好きだ。
終わらない感じがするから。終わらなくて、そうして自由で。
ずうっと歩き続けられるなあといつだって思う。
ひとりだっていいし
たいせつなひとと一緒ならもっといい。
いつだって思う。
そうしてまた思う。
たいせつなひとと一緒ならいつだっていい。
でも夏の夜ならもっといい。
自由で。終わらなくて。濃密な夜。
流星を見るのを忘れていて
狭いベランダから空をずっと眺めた。
もう流星は終わってしまったようでひとつも星は流れたりしない。
あるべき場所にちらちらとしているだけだ。
それでも夏の夜だから
星が流れなくたってかまわない。
そう思ってずっと星を見ていたらふくらはぎを蚊に刺された。
部屋のなかからはちりちりと風鈴のおと。
蚊取り線香のほそいけむり。
隣の庭ではじりじりと夜蝉が鳴いていて
またひとつ夏の夜が過ぎる。