暑い、暑い午後だ。

夕方に隣の隣の町の七夕祭りに出かけるまで
恋人は集中して仕事を終わらせるからと仕事部屋にこもり
私はひとりでリビングでコーヒーを飲む。

コーヒー飲む?ときいたら、飲むと返事がかえってくる。
つめたいのとあったかいのどっちがいい?とさらにきくと
つめたいの、というので、つくりおきのアイスコーヒーをいれる。
シロップをすこしだけ入れて、マドラーでぐるぐるとかきまぜて、
音がきれいだからと大きな氷を入れて渡す。

それから私はあたたかいコーヒーをいれる。

少しだけ冷やした部屋で扇風機をぐるぐるとまわしながら
あたたかいコーヒーを飲むと
なんだかとてもぜいたくな気持ちになる。

お気に入りのカップがふたつあって、
どちらにしようかつかの間迷う。

ひとつは末の弟が何回か前の誕生日にプレゼントしてくれたもの。
あとのひとつは友だちと北海道に旅行したときに立ち寄ったオーベルジュで買ったもの。
どちらも白地に青い柄が入っているところが同じだ。

今日は弟がプレゼントしてくれたほうを選ぶ。
ななぶんめまでコーヒーをいれたカップ、そしてついのソーサー。

隣の部屋では恋人がぱたぱたとパソコンに向かっていて
私はソファでごろごろしながら本を読んだり
ときどきむくりと起きだしてリビングに引っ張り出してきたパソコンに向かう。
仕事に飽きると恋人がやってきて、なにのかにのといってまた仕事部屋に戻る。

暑い暑い夏の午後。いつもの午後。