さて。夜もだいぶ更けてきて。
個室なのに完全介護のためつきそいの泊まりはNGだったため、
そろそろ帰る、また明日くるわという恋人を
エレベーターホールまで見送る。
病気かも知れないこと。病気だったこと。
手術をしないといけないこと。
そのコトの起こりから。
ずぅっと恋人は私の隣にいて、
そうしてずぅっと一貫して、
大丈夫や、と言いつづけてくれた。
大丈夫や。
泣いてしまったことも一度や二度ではない。
でもそのたびに。
恋人はいつもいう。
大丈夫や。心配あらへん。
ずぅっと一緒にいたるから。
だから大丈夫や。
そのことばどおりに。
入院の朝。いつもは全然起きないのに私よりさっさかと目を覚まして。
やればできる子なんやと笑わせる。
朝から晩までつきっきりでそばにいて。
ときおり目をあけると。
いつも恋人が声をかけてくる。
起きたんか。痛くないか。おなかへってへんか。
少し痛いけどだいじょうぶ。
そうこたえてまた眠ってしまっても。
つぎに目をあけても恋人がいると知っているから。
だから安心して眠ることができる。
うすぼんやりと断続的に響くキーの音。
パソコンのちいさな画面に向かうすこし猫背のおおきなせなか。
ありがとうね。あなたがいてよかったよ。
声に出しても出さなくても。
たくさんたくさんそう伝えていて。
伝えても伝えてもたぶんきりなんてない。
やっと家に戻ってくるときに。
めっちゃおいしかったから元気が出るからと
昨日の夜に見つけたというお鮨屋さんに行く。
確かにそのお鮨はおいしくて。
ちょっとしみじみとする。
ああ私、お鮨食べてるわ。
なんて少しおおげさに。
最寄り駅におりたって家まで歩いている途中。
せや、なんか食べたいものあれへんの?という恋人に。
苺のショートケーキとポテトチップス。
とこたえたら。拍子抜けしたように恋人はわらう。
だって特別なものなんてなにもいらないのだ。
夜。いつもの恋人の笑っているような寝顔を。
そうっと見つめながら。
ただいま。とちいさくいってみる。
なんやそれ。と目がさめた恋人は笑うだろう。
おかえり。なんてロマンティックなことはきっといわないだろう。
それでも。そんなこと全然気にしない。
ただいま。帰ってきたよ。
たいせつなひとのもとへ。
私にはそれだけで。十分なのだ。
個室なのに完全介護のためつきそいの泊まりはNGだったため、
そろそろ帰る、また明日くるわという恋人を
エレベーターホールまで見送る。
病気かも知れないこと。病気だったこと。
手術をしないといけないこと。
そのコトの起こりから。
ずぅっと恋人は私の隣にいて、
そうしてずぅっと一貫して、
大丈夫や、と言いつづけてくれた。
大丈夫や。
泣いてしまったことも一度や二度ではない。
でもそのたびに。
恋人はいつもいう。
大丈夫や。心配あらへん。
ずぅっと一緒にいたるから。
だから大丈夫や。
そのことばどおりに。
入院の朝。いつもは全然起きないのに私よりさっさかと目を覚まして。
やればできる子なんやと笑わせる。
朝から晩までつきっきりでそばにいて。
ときおり目をあけると。
いつも恋人が声をかけてくる。
起きたんか。痛くないか。おなかへってへんか。
少し痛いけどだいじょうぶ。
そうこたえてまた眠ってしまっても。
つぎに目をあけても恋人がいると知っているから。
だから安心して眠ることができる。
うすぼんやりと断続的に響くキーの音。
パソコンのちいさな画面に向かうすこし猫背のおおきなせなか。
ありがとうね。あなたがいてよかったよ。
声に出しても出さなくても。
たくさんたくさんそう伝えていて。
伝えても伝えてもたぶんきりなんてない。
やっと家に戻ってくるときに。
めっちゃおいしかったから元気が出るからと
昨日の夜に見つけたというお鮨屋さんに行く。
確かにそのお鮨はおいしくて。
ちょっとしみじみとする。
ああ私、お鮨食べてるわ。
なんて少しおおげさに。
最寄り駅におりたって家まで歩いている途中。
せや、なんか食べたいものあれへんの?という恋人に。
苺のショートケーキとポテトチップス。
とこたえたら。拍子抜けしたように恋人はわらう。
だって特別なものなんてなにもいらないのだ。
夜。いつもの恋人の笑っているような寝顔を。
そうっと見つめながら。
ただいま。とちいさくいってみる。
なんやそれ。と目がさめた恋人は笑うだろう。
おかえり。なんてロマンティックなことはきっといわないだろう。
それでも。そんなこと全然気にしない。
ただいま。帰ってきたよ。
たいせつなひとのもとへ。
私にはそれだけで。十分なのだ。