さて手術室から出て、病室に搬送されて少しすると。
がらがらとドアが開き、案の定、
恋人、ではなく母が最初に走りこんでくる。
母の次に父が、そして恋人が見える。
ナオー、よかったねよかったね、無事に終わったよ
お父さんのときはこーんなでっかいの(父は肺癌で手術をした)だったでしょう?けど、ナオのはこれっくらい小さかったよ。それでね。それでね。
と母はわいわい騒いでいて、そのまったくもって母らしい様子に安心をする。
お疲れさん、とひとこという父はやはりいつもの父らしい。
自分が癌で、娘も癌だということに、とてもこころを傷めているんだよ、あまりいわないけどね、と、やはり同じく癌持ちである伯母から聞いている私は、
ああお父さん、ごめんね、でもだいじょうぶだから、と思う。
恋人は今度は本当にすごく嬉しそうににこにことしていて、
よかったなあ、ほんまに。となんどもいっている。
みんなの嬉しい空気がいっぱいになって、
狭い病室がさらに狭く、でも一気に明るくなったような状態になる。
ありがとうね、切片見て、気持ち悪くなかった?
とベッドの隣に座った恋人にきく。
気持ち悪くなんかあれへんよ、ちゃんと切ってもうたし、もう安心やで。
恋人が安心やとか大丈夫やというたびに、私は少しずつ元気になるのだ。
イチゴ買ってきたよとか、この前タイに行ったときのお土産はこれとこれ、Tさん(恋人の名前)にも渡しておいたからね、とか相変わらず母はわあわあいっていて、
それをみんながにこにこと見ている。
ただまだ麻酔で朦朧としているので、みんなにごはん食べにいったら?とすすめ、
(よく考えたらみんなごはんを食べたばかりだったのだが)、
みんなもそれもそうね、ナオはまだ眠いだろうしね、といってごはんを食べにいく。
よく眠った。
次に起きたのはみんなが病室に戻ってきたときで、
両親は「オジャマ虫だからそろそろ帰るわー」とほんとうは付き添っていたそうなのに帰っていき、遠いところありがとうといってふたりを送り出す。
がらがらとドアが開き、案の定、
恋人、ではなく母が最初に走りこんでくる。
母の次に父が、そして恋人が見える。
ナオー、よかったねよかったね、無事に終わったよ
お父さんのときはこーんなでっかいの(父は肺癌で手術をした)だったでしょう?けど、ナオのはこれっくらい小さかったよ。それでね。それでね。
と母はわいわい騒いでいて、そのまったくもって母らしい様子に安心をする。
お疲れさん、とひとこという父はやはりいつもの父らしい。
自分が癌で、娘も癌だということに、とてもこころを傷めているんだよ、あまりいわないけどね、と、やはり同じく癌持ちである伯母から聞いている私は、
ああお父さん、ごめんね、でもだいじょうぶだから、と思う。
恋人は今度は本当にすごく嬉しそうににこにことしていて、
よかったなあ、ほんまに。となんどもいっている。
みんなの嬉しい空気がいっぱいになって、
狭い病室がさらに狭く、でも一気に明るくなったような状態になる。
ありがとうね、切片見て、気持ち悪くなかった?
とベッドの隣に座った恋人にきく。
気持ち悪くなんかあれへんよ、ちゃんと切ってもうたし、もう安心やで。
恋人が安心やとか大丈夫やというたびに、私は少しずつ元気になるのだ。
イチゴ買ってきたよとか、この前タイに行ったときのお土産はこれとこれ、Tさん(恋人の名前)にも渡しておいたからね、とか相変わらず母はわあわあいっていて、
それをみんながにこにこと見ている。
ただまだ麻酔で朦朧としているので、みんなにごはん食べにいったら?とすすめ、
(よく考えたらみんなごはんを食べたばかりだったのだが)、
みんなもそれもそうね、ナオはまだ眠いだろうしね、といってごはんを食べにいく。
よく眠った。
次に起きたのはみんなが病室に戻ってきたときで、
両親は「オジャマ虫だからそろそろ帰るわー」とほんとうは付き添っていたそうなのに帰っていき、遠いところありがとうといってふたりを送り出す。