どうやら変なものを引き寄せるオーラが出ているらしい。

打ち合わせの移動中にひどい雨になったので、
銀座の地下駐車場を通って拠点を移動することにした。
場所柄、けっこう高級な車が預けられているし、
特に雨の日はひとどおりもわりと多い駐車場である。
もともと地下は好きではないので、あまりその道は利用しないが、
こんなふうに突発的に雨にやられたときなど
これまでに何度か利用したことがある場所だ。

地下道に続く階段で、少し酔ったような男性とすれ違った。
そのときに、うっすらと、嫌な予感はした。

しかし地下道にたどり着くまでに、数人のひとたち…みな雨を逃れて地下道を歩いていて、そのビルから地上に出ようとうするひとたち・・・とすれ違ったりしたので、うっすらと嫌な予感を抱えつつも、引き返さずにそのまま地下道に降りた。
次の打ち合わせ先へ急いでいたせいもある。

しかし。その嫌な予感は的中した。
地下道に降りてぱっと振り向くと、
地上に出たはずのその少し酔ったような男性が、
ぴったりと後ろについてきていて、
なにやかやと声をかけてくるのだ。

こ、こわい・・・

そしてあろうことか、ひとどおりがあるはずの地下道に、
その男性と私しかいないのだ。

折悪しく、今日はヒールの高いパンプスである。
おまけにいつものようにノートパソコン(重)とバッグと傘で手もふさがっているし重いしで早く走れない。
目的地まで、たとえ全速力で走ったとしても軽く5分はかかる地下道だ。

男のひとはにやにやしながらぴったりとついてくる。
からかうように鼻歌を歌ったりしている。

本気でこわい・・・

とにかく足早に歩いたら、ほんの目の前に駐車場の中央監視室のようなものがあったので、考えるまもなく駆け込む。
なかには駐車場管理の男性陣が7~8人いて、いっせいに私に注目した。

ひ、ひとにつけられてるみたいで、すみません、
少しでいいから入れててください

私の顔があまりに引きつっていたせいもあるだろう、
おじさんたちはいっせいに駐車場側を見て、私をつけていた男性を認め、
しばらくなかに置いてくれた。

酔った男性は少しの間うろうろとしていたけれどさすがに退散。

ひとりの管理のおじさんが、じゃあということで遠くの出口まで送ってくれた。
途中で酔った男性がまだいて、すごく怖かったけれど、おじさんがいてくれたおかげで大丈夫だった。

ああまったく電車のヘンタイにしろ今日の酔っ払いにしろ
どうしてこう変なひとに狙われるのだ?
電車も今日も、私に隙があったとも思えないんだけど。
露出過多の服装をしていたとかならまだしも、
今日なんて長袖のシャツだし。
私に非があったとしたら、地下道をとおったこと、の一点だろう。
でも銀座でさえ地下道を安心して通れないくらい、治安が悪くなったということ?
いったいいつの間に?

外に出たらあれだけ激しく降っていた雨は止んでいる。

もう地下道を通るのはやめよう。
ひとりで電車に乗るときにのんきにしているのもやめよう。
そんなふうにして過ごさないといけないのは
つまらないことだけれども。

それにしても。
昨日も今日も、見知らぬひとに助けてもらった。
本当にありがたいことだった。
私もいざというときにはちゃんと機転をきかせて勇気を持って困っているひとを助けてあげようと思う。