パーティの夜とプレゼント。

今夜は関連会社の1周年記念パーティに招かれる。
現在、その会社のサイトの再構築の仕事をしているのだ。
広い会場に150人くらいの関係者が集まる。殆ど知らないひとばかり。
こういう大人数×知らないひとという組み合わせは本当に苦手。
しかもよりどころがない立食パーティである。
主催者に挨拶をすると、あとはもうどうしていいかわからない。

帰りたい…。

そんなことを思いながら、隅っこのほうで所在なく会場を見ていると。
背の高い男性が「おお、○○（私の苗字である）」と声をかけてきた。

よくみると、ずっと以前に所属していた部署の上長、Wさんである。
当時1000人くらいの部下がいる部署のトップだったWさん。
部下だった頃は、高校の先輩という縁もあって（といったって年齢は15も違うのだが）、わりとかわいがってもらっていた。
「目で女性を殺す」「ミスター××（部署名）」とまでいわれたダンディぶりは健在だ。

そういえばWさんは、私がかかわっている仕事先に役員として出向されているのだった。
すっかり忘れていたけれど、知っているひとに会えてよかったわーとやっと気分が上向いたその瞬間に、Wさんは言った。

「○○、結婚はしたの？」

…え？？？
「おお、○○」と声をかけられた、次のセリフがそれですか？
久々に会った元部下に？
ふつう、仕事はどうだとか元気でやっているのかとか聞かないか？

とかとか思ったのは少しあとのことで。
聞かれたときはまさに瞬殺という言葉がぴったりで。

「い、いえ。結婚どころか・・・」と素で応えてしまったのだった。

パーティのあと、以前の部署の後輩の送別会に顔を出す。
すっかり遅れての参加になってしまったけれど。
懐かしいひとたちにたくさん会って、そして新しい会社で新しく出発する後輩が頼もしくて、とても嬉しい気持ちになる。
最後に後輩に花を贈り、がんばってと握手をした。

夜の銀座はひとだらけだ。
みんな忘年会やなにやかやで遅くなっているようで、私はその人ごみのなかを会社に戻り。
残っていた仕事を片付けて終電に近い電車に滑り込む。
私の隣に立っている年配の男性が、クリスマスの包装がされた包みをさげている。
赤と金の包装紙。みどりいろのリボン。

プレゼントをもらったのかな。
それとも誰かにあげるのだろうか。

プレゼントって、とてもいいなと思う。
喜んでくれるかなとか。なにが欲しいかなとか。好きかなとか。
そんなしあわせな気持ちを贈りあうことだから。

そんなことを思いながら、満員電車に揺られて帰る。

もうすぐクリスマス。
よいクリスマスを。