連休。ずっといいお天気。
11月とは思えないぽかぽかとした陽気。

連休中に、ディア・ハンターを見た。
1978年に公開されたアメリカ映画で、ベトナム戦争を主題にとり、若者の青春と死と戦争というものの一面を描いた長編作品である。
ある一方的な立場で…ベトナムとかアメリカとかロシアとか…見ると、そして実弾を入れたロシアンルーレットによる賭け、というエキセントリックさだけを取り上げると、物議を醸すことになるのだろう。

でも私はただのひとりの人間としてこの映画を見た。

前半の冗長な表現に飽きるひともいるだろう。
でもこれが平和な日常なのだ。
こんなにも明るくて元気で。
お酒を飲んでは馬鹿みたいに大はしゃぎして。
酔っ払って大声で歌って、お祝いではダンスを踊る。
(彼らはロシア系アメリカ人なので、ダンスもロシアのダンスだ)
友だちや家族に囲まれて、愛するひとと結婚をして。

だからこそ戦争の過酷さと理不尽さがより顕になる。
戦争はそのすべてを奪うのだ。
健全なこころも。生きたいという気持ちも。生きることそのものも。
そしてもちろん変わらないこともある。
大切なひとを思う気持ち。ふるさとの青い空。

そういうことを、しみじみと感じる。悲しい物語だなあと思う。
cavatinaのメロディがこころに残る。

そうして私はやっぱり。戦争をどうしようもなく嫌いなのだった。
平和な国に生まれてよかったし、平和な時代に生まれてよかったと思う。
でもこの平和な状況はいつまで続くのだろう。

祖母がまだ元気だったころ、いまの日本は戦争の前ととても似てきているといっていた。
とても似ているから。気をつけなくてはいけない。
戦争はなにがあっても起こしてはいけない、あれは本当にむごいものなのだ。
いったい何度この言葉を聞いただろう。

私の母方の祖母は空襲にあったことがあるし、父方の祖父は出征していた。
幸いどちらも命を落とすことはなく、だれかの命を奪うこともなかったようだけれど。
私が子どもの頃は、まわりにたくさん戦争を体験したひとたちがいて、
みんな戦争について教えてくれた。
戦争で得をするひとのことも。悲しい思いをするひとのことも。

連休。あたたかい陽気につられて何度もそとに出た。
少し遠いところまであちこちと散歩をした。
てくてくと街を歩きながら。なにもないけれど幸せだと思う。

夜、空には満月。