あんなにやさしそうな、誠実そうなひとと付き合えて幸せね。

と誰もがいいそうなひとと数ヶ月前に出会った。

同じ会社のひとで、ときどきロビーとかエレベーターホールなんかでばったり会う。
そんなちょっとした偶然が続いて、お互いになんとはなしに意識をしあうようになり。
会釈なんかをしあったりするうちに、おはようございますとかお疲れさまですとかいう挨拶を交わせるまでになる。

そのひとを見かけるたびにどきどきしたり、
そんなふうに挨拶をかわせるだけでとても嬉しい。
毎日ちょっとハッピー。
ああでももうちょっとお近づきになりたいな。と私は思う。

そのうち食事に行くようになり、お付き合いをすることになった。
嬉しい。夢みたい。

でも実は「やさしそうな、誠実そうな」と思いつつ、どこかでなにか…そのひとのさわやかな笑顔とかやさしい物腰とかに。
ああこの感じ、どこかで感じたことがある…なぜかときどき胸をすうっととおる冷たい感覚はなんだろう。
と思っていたら、案の定(?)、実は私が求める誠実さは持っていないひとだということがわかることがあって。

ものすごくショックだった。
ものすごくショックなんだけど、ああやっぱりね。と妙に冷静で醒めている自分を自分で見ている。



というところで目が覚めた。
ものすごくリアルな夢だった。
好きかも!と思ってどきどきしているところとか、「このひとは大丈夫」って思っているはずなのに、ときどき胸のなかの冷たくなる感じとか、ああやっぱりね、という冷静な悲しい気持ちとか。

いったいなんていう夢をみているんだろう。みてしまうんだろう。
と目が覚めてからおかしく思った。
おかしいんだけどちょっと悲しいとも。