遅い夏休みをとってタイに行ってきた同僚が、お土産にチョコレートコーティングのウエハースをくれた。
正直言ってこの手のアメリカンなお土産チョコレートは苦手なのだけれど、折角なのでひとくちいただく。なかなかおいしい。
ブルボンのルマンドに味が似ている。

ブルボンのルマンド。
あの紫色のパッケージのお菓子を、子どもの頃、熱狂的に好きだった。
でも確かルマンドは、私が子どもの頃はやや高級なおやつに分類されていたのではなかったろうか。

私の家でももちろん滅多やたらと食べさせてもらえるものではなく、本数限定で手渡されていたように思う。
ルマンドを一袋ひとりで全部食べたいというのが子どもの頃のささやかな夢のひとつだった(私にはこの手のささやかな夢が多い)。

確か大学生だったろうか、近所の100円ショップでルマンドが売られていたとき、あの高いはずのお菓子が100円であるという貨幣価値(?)の変化に衝撃を受けつつ買って帰り、もちろん一袋完食し、そのささやかな夢をかなえたのだった。

いったいいつからルマンドは高級ではなくなったのだろう。
私の記憶違いか、あるいは格別に私の家が貧困家庭だったのか(実際潤沢にお金があったわけではないが)。
しかしルマンドは高級だったと記憶しているひとがまわりには多いから、やっぱり少し高価だったのかも知れない。少なくともスーパーで100円で売られているようなものではないのだ。

ルマンドといえば最近クラッシュタイプのルマンドが出たのでもちろん買ってみたけれど、あれはもはやルマンドとは味が違いますね。凝縮されていてものすごく濃厚。スタンダードなルマンドのほうに軍配があがる。

そういえば去年から、父が地域の地区長のようなものをしているらしいのだけれど、去年の秋祭りで子どもたちに配るものに、父は周りの反対を押し切ってバナナを選んだのだそうだ。

オレが子どもの頃はバナナは高級品で、食べたくても食べられなかったから。
というのがその理由だそうなのだけれど。

いやーいまの子どもっていうのは贅沢で、バナナには見向きもしないんだな、
誰もバナナ持ち帰ってくれなくて、バナナなんていらないっていわれたんだよ、お父さんびっくりだよ。なんて言っていた。

いやいや、そんな父にむしろ私がびっくりですよ。
私が子どものころだって、チロルチョコとかうまい棒とかマルカワのフーセンガムが入ったお菓子の詰め合わせをもらっていたような気がするのだけれど。
まあそれだって前時代的ではあるのだろう。

秋祭りの後、父はしょんぼり半分、いぶかし半分で大量のバナナを持ち帰ってきたらしい。
しょんぼりしている父が目に浮かんで、かわいそうなようなかわいいような。
そして今年の秋祭りでは、他の役員さんの提唱で、バナナではなくおでんが配られることになったのだそうだ。