一年に何度か旅に出る。
この夏の旅のテーマは〝避暑〟。
仕事やなにやかやからきちんと離れて涼しいところでのんびりすることにしよう、と夏になってから決めた。
一泊二日くらいしかとれないから近場にして、避暑っぽい感じがするところに泊まって、2日目にはゴルフをして…
旅は計画しているときが楽しい。旅に出ているときと同じくらいに。
芦ノ湖のほとりに宿をとる。
乗ったことがないというロマンスカーを予約する。
一日目は雨ときどき曇り。
雨だったということもありとてもきれいで落ち着いたリゾートホテルで、ひたすらのんびりと過ごす。
雨があがった夕方に、近くの遊戯施設へ出かけ、エアホッケーやゲームなどをする。
ホテルの晩ご飯がとてもおいしくて、おいしいおいしいといいながらたくさん食べて、部屋に戻って本を読んだりお風呂に入ったりうたたねをしたりする。
強烈に降り出した雨の音を聞きながら。
のんびりと時間が流れる。
のんびりと穏やかに。
翌日はとてもいいお天気。
ゆっくりと朝ごはんを食べてから、湖畔へ遊びに行く。
あひるの形をしたボートに乗ろうよ、といって。
(実際はあひるではなくて白鳥らしいし、しかも私たちが乗ったのはパンダの形だったのだけれど)
ぎこぎことボートをこいで湖をわたる。
ぎこぎこぎこぎこ。
こんなふうに遊ぶのは小学校以来だろうか。
お昼過ぎからゴルフへ。
アップダウンの多いコースで、乗用カートがない。
最後のあたりは足ががくがくしてきたけれど、スコアも悪くなくて満足する。
架線故障でロマンスカーがとまっていて少し焦ったけれど、
遅い時間のロマンスカーに振り替えることにして、
駅のベンチでお弁当を食べ(電車で食べようと思って買ったのだ)、ちいさな喫茶店でちびちびとコーヒーを飲む。
時間がくるまで。
夜、あたりが真っ暗になるころ。
ようやく電車が走り出して、いつもの街に私たちは帰る。
昨日の朝に出たばかりの見慣れた街並みがなんだか見慣れなくて、何日も留守にしたような気分になる。
たぶんとてものんびりとしたせいだろう。
旅行が終わって。土曜日と日曜日が過ぎて。
一日一日と夏休みが終わるのがまるで小学生みたいに淋しくてつまらなくて。
楽しい夏休みになったね。
とても楽しかったね。
そんなこと確認しあわなくてもよいのだけれど。
淋しいから。同じことを感じていてほしいから。
やっぱり確認してしまう。
楽しかったねと同じこたえがかえってくるのがとても嬉しいと思う。
そうして今年の夏休みが終わる。
楽しかったね。夏休み。
芦ノ湖とパンダののりもの。