六郷土手の花火大会に行ってきた。

浴衣を着て。


私の浴衣は数年前に買った、黒地にひな菊(だと思う、たぶん)が染められたものだ。

江戸時代には毎年新しい浴衣を誂えたと聞いた。

それを思うと何年も同じ浴衣に袖をとおしているなんて、なんとも無風流な気がしてくる。


おまけに私の浴衣は、ほんとうは紺地だと思って買ったのだけれど、明るい光のもとでよく見たら黒地だった。

それでも私はこの浴衣をとても気に入っていて、浴衣を着ていけるところにはなるべく着ていくようにしている。

花火大会。お祭り。浴衣でいくとお得になるビアガーデン。そんなところ。


浴衣のときはたいてい髪もあげるのだけれど、

今年はあげないでといわれたからそのままでいった。

いまの長さがちょうどよくて気に入っているからあげないで。

こういうところはきちんと主張する。不思議なひとだ。


涼しくなってきた土手に座って花火を見る。

うちわでぱたぱたと風をおくりながら。

夏はいいなあと思う。

浴衣が着られて。花火大会があって。


帰りに寄った居酒屋さんで、お店のひとに

花火大会ですか?いいですね、とにこにこしながらいわれた。

なんだか嬉しい。


今年は新しい浴衣を誂えようかなと思っていたら

もう夏もすっかり深いところまできてしまった。

今度は紺地に金魚とか朝顔とか、あるいは白地に深い紺で模様を染めたようなものがいいなと思っている。


明日から少し旅に出る。

お天気がよいといいのだけれど。