週末はたいてい映画を見る。
恋人ははらはらどきどきする映画が好きで私は感動する話が好き。
レンタルショップでそれぞれが見たいものを探し、借りる映画を相談する。
ナオは見たいのあらへんの?これとこれどっちがいい?
そんなふうにして映画をえらぶ。
この前の週末は〝steam boy〟〝spirit〟〝diamond in paradise〟、そして〝死ぬまでにしたい10のこと~my life without me~〟を見る。
〝死ぬまでにしたい10のこと〟は。
なんやよさそうやし、といって棚のなかから恋人が選んできたものだ。
いつもならこういう類の映画は選ばないひとなのに。
その映画は、23歳の若さで余命2ヶ月と告知された女性が(まだ小さなかわいい娘2人とDonという名のやさしい夫もいる)、残された短い時間のなかでやろうと決めたことをひとつずつ実行していく、というお話。
公開中はずいぶんとロングランだったから、見たことがあるひとも多いと思う。
Things to do before I die.
彼女は医師から宣告を受けたあと、そのリストをつくる。
Tell my daughters I love them several times a day.
Find Don a new wife who the girls like.
Record birthday messages for the girls for every year until they are 18.
Go to Whalebay Beach together and have a big picnic.
Smoke and drink as much as I want.
Say what I'm thinking.
Make love with other men to see what it is like.
Make someone fall in love with me.
Go and see Dad in jail.
Get some false nails( and do something with my hair).
これが彼女のしたい、10のこと。
私はどうするだろうと考える。
余命が2ヶ月だったら。
新しい恋をする時間なんてぜったいにない。ぜったいに。
それよりもいま愛しているひとを愛するだろう。
大切なひとを大切にするだろう。
いまと同じくらいに。あるいはいまよりももっと。
食べたいだけ好きなものを食べよう。お酒や煙草をしないかわりに。
部屋をうんとぴかぴかにしよう。
何人かの友だちとお茶をしよう。病気のことは内緒にするだろうけれど。
いろいろなひとやものにお礼をいおう。
弟たちや兄にとびきりのプレゼントを買おう。そして先の日付の宅急便で送る。
両親には…ちょっと想像がつかない。あまりにも重い。
そんなことをとりとめもなく考えた。
隣には恋人がいる。
35℃をこえた夏の昼下がり。
暑い部屋に扇風機がまわっている。
机のうえのお皿には食べかけの水蜜桃がふた切れある。
この現実をちゃんと愛そう。