週末、近くの駅ビルで買い物をした。
キッチングッズの店で包丁研ぎ、新しい箸、お盆などを買う。


その後しばらく駅ビルをうろうろしていたら、館内放送が入った。
ピンポンパンポン、というチャイムとともに、迷子や忘れ物を告げるあの放送である。


ピンポンパンポン。

そのチャイムの音で、本屋さんで文庫本を物色していた私の足が止まった。
この放送で名前を呼ばれるのはきっと私だ。

なぜかそう確信したのだ。理由はないけれど。


そうして案の定、私の名前が館内に響き渡った。
フルネームが2回も。


ピンポンパンポン。
先ほど××でお買い物をされた○○ナオ様、○○ナオ様…


これは随分と恥ずかしいものですね。
誰に見られているわけでもないけれど、そそくさと本屋さんを立ち去るくらいには。


そういえば。ずっと以前、那覇の空港でも名前を連呼されたことがある。
私は自分の名前が何度も空港でアナウンスされるのを、搭乗ゲートに向かって全力疾走しながら聞いていた。


ピンポンパンポン。
○時○分発羽田空港行きにご搭乗の○○ナオ様、至急お近くの空港係員までご連絡ください・・・


最終便だったせいかどうか、空港係員とやらはまわりにまったくいない。
これでどうやって「ご連絡」しろというのだ。
と思っているうちに、結局その飛行機は離陸した。
しかも最終便だったので、翌日に東京に戻ることになった。

不意の一泊は、それはそれで楽しいものだったけれど。