赤坂に野菜がおいしいレストランがあると聞いた。
行ってみたいと思いつつ、不意に訪れるといつも満席だったり、あるいは電話しても行きたい日は予約でいっぱいだったりする。


先日ついに、かのレストラン〝オゥ・レギューム〟に行ってきた。
弟と弟の恋人、そして私の3人でお邪魔する。


はじめに断っておくと、私はそんなに野菜が好きではない。
とりたてて嫌いな野菜があるわけでもないけれど、でもつけあわせの野菜はたいてい最後まで手をつけない。
好んで野菜を食べるようになったのは、本当につい最近のことだ。


一方で、新鮮な野菜を食べられる場所で生まれ育ったせいか、野菜の味はわかるほうだと思う。
なにしろ子供の頃に家で食べる野菜は、庭の一角の菜園からとってきたものか、近所の農家がお裾分けしてくれるものか、あるいは隣の市場から買ってくるものだったのだ。
子供の頃に食べていた地野菜は、どれもその野菜特有の香りと味がした。
茄子。キャベツ。トマト。きゅうり。おくら。ピーマン。ねぎ。じゃが芋。
東京のスーパーマーケットで買う野菜はどれも似たような味がする。おしなべて平均的。


〝オウ・レギューム〟の野菜は健康な味がした。
料理は創作的にすぎるきらいもあるように思う。
もちろんオーソドックスなサラダなどもあるのだけれど、スペシャリテの茄子のアイスクリームなどはちょっとどきっとするものだ。

しかしどんなに創作的であっても、〝オウ・レギューム〟の料理は、野菜本来の味を損ねることなく、むしろ引き出すほうにきちんとベクトルを向けている。
店名があらわしているように、野菜と向き合うということをひとつひとつの料理の上で誠実に表現をしている。
そしてさらに素晴らしいことに、〝オウ・レギューム〟の野菜は料理に負けない味がする。


赤坂に野菜がおいしいレストランがある。
それは確かに事実なのだ。


#レストラン・オゥ・レギューム[赤坂]