梅雨の晴れ間。
大ぶりのタオルケットを洗って干した。
ほんのりとした石鹸の香りは私のこころを満たすもの。


フットサルに出かけた恋人から、もうすぐ着くと電話が入る。
私はやりかけの掃除を慌てて済ませ
そろそろ乾いたタオルケットを取り入れにベランダに出る。
すると階下の道の遠く先に恋人の姿を見つける。


特徴のある歩き方でわかる。
あるいは特徴なんてなくても。


私に気づいた恋人が軽く手を上げる。
だから私もおかえりと手を振り返す。
さわやかな風が吹き抜けるベランダから。


冷やし中華が食べたいという恋人と、近くの中華料理屋に行き
冷やし中華と餃子とから揚げと味付け卵をぜんぶひとつずつ頼んで、

ふたりで半分ずつ食べる。

私より恋人の方がずいぶんとからだが大きいのに
恋人はいつも必ずたくさんのほうを私に残す。


ナオ、これ食べ。
そういって、最後のひとつを私に残す。

だから私はいつも同じことを言わないといけない。
私の方がからだが小さいんだから、これあなたが食べてね。と。


いったい何度この会話を繰り返しただろう。
そしてこれからも。


おいしいものをお腹いっぱい食べて。
恋人の家に帰って。
私はこうして日記を書いたり本を読んだりして週末を過ごす。


すぐそこに動き疲れてうたた寝をはじめた恋人の
静かで規則的な寝息が聞こえる。