この旅で楽しみにしていたことのひとつは、建築物を見ることだった。
だから訪れた街の主だった建物は文字どおり休む間も惜しんで見てまわった。
教会。修道院。市庁舎。議事堂。オペラハウス。劇場。城郭。
そんな大仰な建物でなくても、アパートメントやふつうのひとが住む家などにもこころひかれるものがたくさんあった。


古くから現在にまで続く街はどこもそうなのだけれど、
ここウィーンもさまざまな世代の建物が折り重なって成立している街だ。
バロックの壮麗な建築物が威容を誇るそばには、ユーゲントシュティールとよばれるモダンな建物がある。東京と同じように現代の無機質な建物ももちろんある。
そういえば東京にも、モダニズムな洋館もあれば日暮里の夕焼けだんだんや月島のあたりにひっそりと残る美しい家並みもある。


さまざまな時代が幾層にも折り重なっているところ。
それぞれにそれぞれのよさがあるところ。


やっぱりウィーンは、東京に似ているのだった。


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ユーゲンシュティールの建物