〝第三の男〟は5回くらい見た。
そのうち意志的に(つまり見たいと思って)見たのは1回だけなのだが、残りの数回はテレビをつけたら放映していた、とか、両親が見ているのを横で見ていたとか、飲みに行ったバーのモニタがそうだったというふうに、なぜか人生のなかでときどき登場する映画なのだ。
〝カイロの紫の薔薇〟も同じで、この映画も5回は見ている。
特段好きな映画でもないのに、不思議なものだ。
もちろん嫌いな映画でもないのだけれど。


ウィーンのオペラ座のすぐそばにあるカフェ・モーツァルトは、その映画〝第三の男〟に登場するカフェである。


観光地としても首都ウィーンの一角としてもにぎわうところにあるので、このカフェは一年中混雑しているらしい。私は運よくすんなりと入ることができた。

天井が高くて明るい店内では(もっとも今回私が行った範囲では、どのカフェも天井が高くてそれなりに広かった。日本の喫茶店に比べたら、だけれど)、家族や夫婦が食事をとっていたり、初老の男性がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたりする。
みなどちらかというときちんとした格好をしてそれぞれの時間を過ごしている。


どんなシーンでこのカフェが使われていたっけと、カフェメランゲを飲みながら〝第三の男〟を思い出そうと思ったけれど思い出せなかった。
日本に戻ったらレンタルして見直そうかとも思ったけれど。
でも何しろ〝第三の男〟だから。

きっとレンタルなんかしなくても、そのうち不意に、目にすることになるのだろう。


#mozart モーツァルト[ウィーン]


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