ハヴェルカの時間は停まっている。
あるいはハヴェルカの中にだけ外界の激しい時間の流れとは別の潮流があって、だから時間が停まっているような錯覚を抱く。
旧い町の、世紀をまたいで店を構えているようなところと同じ感覚。


もともとはきっとなんということはない街中の一軒のカフェなのだ。
でもそのカフェに時間が堆積し、ハヴェルカができあがる。

創業以来一世紀以上ものあいだ、

一度も内装を変えていないというほの暗い店内。
つやつやと黒く光るテーブルや椅子。
褪色した壁紙やポスター、額縁の絵。
外のあかりをぼんやりと吸収するカフェカーテン。


給仕頭でありオーナーのハヴェルカさんは、私がお店によったときにも店頭にいた。
小さな椅子にちんまりと座っているそのちいさなおじいさんは、たぶんそのままハヴェルカの歴史の一部だ。


文人墨客やジャーナリストが夜な夜な訪れたというこのカフェ・ハヴェルカを、私はとても好きだと思った。


#hawelka ハヴェルカ[ウィーン]


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