この旅の最後の街がブダペストだった。
ブダペスト。
プラハやウィーンのように、私はこの街にイメージを持たずに到着した。
街全体を見下ろせるという丘に、だから最初に登った。
ブダペストの中心にはドナウ川が流れていて
ブダとペストをつなぐいくつかの橋がかかっている。
いくつかの丘の上からドナウ川を見た。
大きく穏やかで、それはとても美しい光景だった。
旅の最後の街がこんなにも美しい街でよかったと
しみじみと思った。
東京にいる大切なひとに電話をした。
ずいぶんと長い時間、話をしたと思う。
とても会いたいと思った。
早く帰ってこい、会いたい、と大切なひとがいった。
そんなことを、ふだんいうひとではないのに。
それが私にとってのブダペストと、旅の終わりのこと。
くさり橋