市民会館の1階にあるカフェ・ヌーヴォー。
プラハに行ったことがあるひとなら、場所柄利用した、あるいは目にしたことがあるのではないだろうか。
プラハにいた数日間、何度も前を通ったけれど、
このオープンテラスがあるカフェはいつ見ても多くのひとでにぎわっていた。
ツーリストもいればそうでないひともいるようだった。
私が立ち寄ったのは、プラハを発つ夜のこと。
天井が高くて気持ちがいいし、言葉があまり理解できない場所ではしんと静まり返っているより適度なざわめきが心地いい。
このカフェではピアノマンがピアノを弾いている。
でもほとんどのひとはおしゃべりに夢中でピアノなんて聞いていない。
かわいそうなピアノマン。
時折、年老いた婦人などがピアノマンにリクエストをする。
その曲はできないんですよ、それならこれはどう?
そんなやりとりをしているように見える。
そうでない時間はピアノマンが好きな曲、あるいはお客にあわせて選んだ曲を弾く。
私はそれを離れた席で何時間も見ていた。
私の好きな曲を弾いてくれたらいいなと思ったけれどその曲は最後までリクエストされなかった。
でもそれでもよかった。
ピアノの音は遠い国でも私のこころをゆるやかにする。
明日からは違う国に行く。
そんな夜にこのざわめきとピアノマンはしっくりときて。
私はちいさくピアノマンに拍手を贈り、席を立つ。
#cafe nouveau カフェ・ヌーヴォー[プラハ]
カフェ・ヌーヴォー
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