フランツ・カフカは〝変身〟だけ読んだ。
大学生の頃だったろうか。
なんとなく阿部公房の〝砂の女〟に少し似ているなと思った。
はっきりいってあまり好きなタイプの作家ではないのだ。
私は不条理なことが好きではないから。
私にとってのカフカは、それ以上でもなく以下でもない。
でもプラハでは、カフェ・フランツ・カフカには
行きたいと思っていた。
カフェ・フランツ・カフカは、シックで陰鬱な感じのカフェだった。
深い焦げ茶色のインテリア。濃い緑の壁。昼間なのに薄ら暗い店内。
大きな額縁にはいったモノクロのカフカ。
一度読んだきりの〝変身〟の気分にぴったりときた。
そこで一時間くらい本を読んだ。
外に出たら、プラハの弱い日差しを眩しく感じてくらくらした。
#cafe franz kafka カフェ・フランツ・カフカ[プラハ]