もう一度行きたい街。
これまで見たなかでもっとも美しい街。
プラハに一度でも行ったことがあるひとは、たいていみんなそういう。
弟も友だちも先輩も後輩も。
実際にプラハの街並みはきれいだ。
私はツーリストの基本パタンとして、旧市街のそばに滞在し、旧市街をたっぷりとまわり、新市街にも足を伸ばした。
中世の街並みがそのまま残るチェスキー・クルムロフという古都にワンデイトリップする計画を立てていたのだけれど、結局、疲れてしまって行かなかった。
かわりにプラハ発祥の地といわれるヴィシェフラドに行った。
さて、プラハ。
飛行機のなかで昔読んだ〝プラハの春〟をおさらいしていったので、臨場感もたっぷりだ。
プラハ城。いくつかの聖母教会。修道院。カレル橋。旧市街広場。新市街のヴァーツラフ広場。
どこを見ても歩いても、小説にある高揚と、一方で史実としての悲しさと重みを感じる。
教会で開かれるツーリスト向けのコンサートにも、ルドルフィヌムや市民会館のコンサートにも行ったし、国立マリオネット劇場で人形劇も見た。
あたたかい日が続いたので、昼間はヴルタヴァ(モルダウ)川のベンチによく座った。
そこからひたすらゆるやかに流れる穏やかな川を見た。
ときどき日本のことを思い、大切な人のことを思った。
私はいつでもどこでも大切な人のことを思ってしまうのだと思った。
ひとつの街で一枚ずつ大切なひとに絵はがきを書こうとそのとき決めた。
そんなセンチメンタルなことはこれまでしたことがないけれど。
それが私にとっての、プラハのはじまりと終わりだ。
余談だけれど、帰国後にたまたまテレビを見ていたら、カレル橋を使って豪快にアクションしている映画(トリプルXだったかな)があった。その豪快なカレル橋の使いっぷりにかなりびっくりした。