写真集を買った。beyondという写真集。
NASAが惑星探査機で撮影した太陽系の星の写真が集められているそれは、
美しい装丁で分厚くて、大切なひとへのプレゼントとして選んだものだ。
そうしてそれを、私も一緒に見た。
(CDでいうところのいわゆるジャケ買いだったので、開くまでは結構どきどきした)
そこにおさめられた写真は、そのままではなくデジタル加工されているものもあるのだけれど。
星々のその美しさ、静かさ、激しさが胸を打つ。
圧倒的だと思う。圧倒的なまでの存在感。
そうしてものの価値について考える。あるいは真価について。
この星々や宇宙の前に、ひとや私やあなたは無力でちいさくてはかない。
それでも存在する、その意味について。
子どものころ、よくそらを見ていた。
天の川もたくさんの小さな星屑もきれいに見えるそらの下で私は育った。
父はテレビで「宇宙のはじまり」や「人類のたんじょう」を見ながら泣いてしまうようなひとだし、母はちいさな子どもたちの手をひきながら「いちばんぼし見つけた」と歌うようなひとだった。
おとなになってから天体望遠鏡を買った。
はじめて見た月面は、テレビや本で見るよりもずっとずっときれいだった。
きれいで、そして圧倒的。
beyondを大切なひとと眺めながら。
そんなことを思い出した。
都心に越してきてから、天体望遠鏡は見ていない。
クロゼットの奥にある望遠鏡を、
今度の週末は引っ張り出してみようと思う。