ピアスをなくした。
なくしたかも、ではなくて決定的になくした。


どこでなくしたかも、いつなくしたかも、ほぼ完璧にわかっている。
探したら絶対に出てくると思ったけれど、でも出てこなかった。
不思議。ほんとうに不思議。


なくしたピアスは誕生石をあしらった小さなもので、自分で買った。
いつかの記念日に、なにがほしいと聞かれたので、ではピアスがほしいといったら。
ピアスじゃないものをあげたいといわれた。だから自分で買ったのだ。


それ以外のいつも身につけているアクセサリーも誕生石がついていて、だけど恋人からもらったもの。
たんじょうびとかクリスマスとか。そういう記念日に。


誕生石がついたアクセサリーをつけるのは昔からの習慣で。
なんだか幸せなことが起こるような気がするのだ。
だから逆にそれらをつけていないと少しだけ心もとない。


小さなピアスは探しても探しても見つからなかった。
誕生石がついたピアス。


こういうときは。
もうそれは私には必要のないものなのだと考えるようにしている。
必要のないもの。余計なもの。少なくともいまの私にとっては。


新しいピアスは必要だろうか。
でもいまは誕生石はついていなくても平気な気がする。