美容室に行ったら友だちがいた。
もともとは友だちが紹介してくれた美容室で美容師さんなんだから、予約がかちあってもおかしくない。
彼女は10年以上もその美容室に通っていて、私は3年前から通うようになった。
友だちと美容師さんとアシスタントさんとで、自分が好きな髪型と恋人が好みの髪型、についての話になった。
要は〝恋人が好きな髪形をするかどうか〟ということ。
友だちは恋人の好みにあわせて髪形を変えたりしない。
私はたいてい恋人の好きな髪型にする。
もちろん友だちだって多少は好みにあわせる部分もあるだろうし。
私だっていくらなんでも自分が絶対に嫌いな髪型にはしない。
でもどちらかというと、というよりもっと大きな割合で。
彼女は自分軸で。私は他人軸で。
なにかを決定しているように思う。私の場合、主にレンアイにおいて。
もちろん完全に恋人の好みにあわせたりはしないし。そんなことは不可能。
だけど。髪、長すぎひん?といわれたら、実は伸ばしている髪を少し切ったりする。その程度には。
だから余計に。私は彼女の、私よりもずいぶんときっぱりとしたところを。とても好ましく思う。
(きっぱりしているのだけれど本当はとてもかわいらしいところも)
お互いの爪の垢を煎じて飲ませあったらちょうどいい人間ができるんじゃないかと常日頃から思っているのだが、もちろんそんなこともできないし、
そうね、もっとそうならないといけないよね、と飲むたびにいいあったりもするのだが、そういいあい続けて10年以上も経っている。
きっとお互いに100%本気で変わらなきゃ、と思っているわけではないのだ。
そうしてそれが彼女らしさであり私らしさでもあるのだろう。
だって。
お、髪切ったん?似合うやん。
なんていうふうに。帰ってきた恋人にいわれると。
今日もやっぱり〝恋人が好きな髪型〟にしてよかったと。
思ってしまうのだから。