着信履歴に名前があると。
いつも少しどきどきする。
つい何時間か前に会っていても。
この何時間か後に会うことになっていても。
どんなときでも。いつでも。


いまどこ?もう用事終わったからご飯食べへん?なんにする?
いまから帰るわ。ビデオ屋で待ち合わせせえへん?
今日来えへん?いいこと思いついたから話したいねんけど。


たいていはそういう電話で。
だから私はすっかり嬉しくなって。


焼肉は?お好み焼きは?それとも今日は家でつくるよ?
新しい映画入ってるかな。じゃあ10分後ね。
今日は少し遅くなるけど大丈夫?


そんなふうにいいながら。
仕度をしたり。来ていた道を引き返したり。急いだりする。


最近の週末のお気に入りは。
家でつくるちょっとした和食と韓国料理。

それとも少し歩いた駅にあるちいさな焼肉屋さん。


なか落ちカルビがおいしいこの焼肉屋さんのご主人は。

いつもどうもね。といって。
いつもの2階に案内してくれて。
そうしてたくさんのお肉をサービスしてくれる。


そのとびきりのお肉を。

網の上でじゅうじゅうと焼きながら。


ここのお肉がいちばんおいしいね。

ほんまやで。


そんないつもの会話を繰り返す。


そういうことが増えていくたびに。
いくつものちいさな〝いつも〟がかさなっていくたびに。


あたたかい気持ちになる。
あなたのことを大切に思う。


しあわせというのはたぶん。

そういう〝いつも〟の。少しずつのつみかさなりでもあると思うから。