先週は大学の後輩に誕生日のお祝いをしてもらう。
Aというその後輩は。
お互いを腹心の友とよびあう貴重な存在。
はっとするくらいにきれいで。素直で。とてもきっぱりとしたひと。
私が会社に入ったばかりで。彼女がまだ学生だったころ。
彼女の愛車でよくドライブをした。
お父さんの形見であるそのローバーを。彼女はとても愛していて。
交代で運転をしながら。ふたりであちこち出かけた。行き先を決めない旅。
富士山の麓までドライブをして遊園地に行った。
高いところが苦手な彼女と乗り物に弱い私は。
わあわあ泣きながら大きなジェットコースターに乗った。
高速道路を走っていたのになぜか道に迷い。気が付いたら長野にいて。
折角だからと私の実家に泊まった。
礼儀正しくて素直できれいなAを。私の家族はみんないっぺんに好きになり。
Aさんは元気?と。だからいまでも父や母や弟はきく。
スキーをしに行ったのに寒いからと2~3本しか滑らずに。
ゲレンデが見える喫茶店でコーヒーを飲みながら喋り続けた。
そんなことをたくさんした。
どれもこれも泣きたいくらい懐かしい。大切な思い出。
それから数年後。彼女はパリに留学をした。
パリに発つ少し前。
彼女はとてもおしゃれな子ども用の靴を。かたいっぽうプレゼントしてくれた。
ナオさんこれペン立てにして使って。もうかたほうは私が持ってるんだけど。
そういって。
彼女は数年してから戻ってきて。
そうしてそれまでもそれからも。これからも。
腹心の友であることはなにも変わらない。
私の家のペン立てが。子ども用の靴であることも。
その夜。
はい、ナオさんこれ。プレゼントー。
といってAは。きれいな色のマニキュアをくれる。
フルーツみたいなグリーンとオレンジのマニキュア。
この色ナオさん自分じゃ買わないでしょ。
そんなことをいう彼女に。
よくわかってるね。と思う。
私が持っている何本かのマニキュアは。
やっぱりぜんぶ薄いピンク色をしている。
でも今年は。
フルーツみたいなマニキュアをきっとつけるのだ。
もう少し日差しが強くなったら。きっと。