今日は会社をお休みにする。
がんばれば行けなくもないのだけれど。
思いのほか体調が悪いし、なんだか一日ゆっくりとしたい気分になった。


風邪引いた。ごめん、休むね。と上司に携帯メールを送り。
了解。お大事に。と返事がくる。
(私の部署はこの程度のやりとりで必要十分なのだ)


午前中は近所の内科へ行く。
いつもの若先生がいなくて、今日は初めて見るおじいちゃん先生。
若先生が昨日、お子さんとドッヂボールをしていて転んで頭に怪我をしたこと。
念のため検査に行っているので暫くはおじいちゃん先生が診察にあたるかも知れないこと。
おじいちゃん先生は若そうに見えるけれど結構な高齢であること。
(センセイ、何歳に見える?とにこにこ聞いてくるのだ)
などを。診察のあいまに話し続ける。
熱もあるし結構具合が悪いので、正直いってセンセイの話を聞くどころではないのだけれど。
なんだか一生懸命のおじいちゃん先生に悪気がないのはわかるので。
はあ、とかそうですねえ、とか相槌をうちながら診察を受ける。
年配の看護士さんがごめんなさいねぇという顔でちらちらと覗いている。


やっと診察が終わって、診断は風邪。
いくつかの薬を処方してもらう。


診断結果を恋人にメールすると。
やっぱりあっという間に電話がくる。
薬飲んどき。胃が悪くなるからなんか食べなあかんで。そんなふうに。


薬を飲むためになにかを食べないといけないけれど、なにかをつくる気分にもなれないので、近所の喫茶店に行く。

どの商店街にも一軒はある、街の社交場的な喫茶店。
ご主人と奥さんはたいていのお客さんと顔見知り。
こんにちは、とか。いらっしゃい、とか。お客さんによって挨拶がちがう。
ここのところご無沙汰の私には。
こんにちは、の前に。あら、がつく。
ちょっとだけ驚いた感じの〝あら、こんにちは〟


トーストとたまご、そしてコーヒーを頼んで。
少し本を読む。
ここの喫茶店で本を読むのはとても好き。
ほんのりと薄暗くて親密な感じがする。


暫く経って。
薬も飲んだし。そろそろ家に帰ろうかな。
と思い外に出る。

春の風に青い空。具合が悪くなかったら。どこかへお出かけしちゃうのにな。
なんて思っていると。

自転車に乗った大家さんとすれ違う。


ナオさんじゃないー。どうしたの。
と。とてもびっくり顔の大家さんが。自転車を降りて戻ってくる。
いつもなにかと私のことを気にかけてくれる大家さん。


風邪引いちゃって。休んじゃったんです、会社。といったら。


たまには休まないと。大事にしなさい。
早く家に帰って。庭の花でも眺めているといいよ。と大家さん。


少し慌てて家に帰ると。
裏庭の桜が満開になっている。
週末に家を空けているあいだに。すっかり春がやってきている。
とてもきれいだから写真を撮った。


それが今日あったいくつかのこと。


sakura