月にいちど。
街のドーナツ屋さんでひとを待つ。
たいていは日曜日の夕暮れどき。
晩ご飯には少し早い、そんな時間。


カフェオレを一杯とドーナツをひとつ。
傍らに文庫本。

そうして私はひとを待つ。


このお店にはたくさんのひとがやってきて。
いれかわりたちかわり。
ドーナツを買って帰っていく。
誰かのために。自分のために。
ふわふわと甘いたくさんのドーナツ。


10数種類のドーナツをテイクアウトする高校生。
たっぷりと時間をかけてひとつずつのドーナツを選ぶ、
両親ほどの年齢のご夫婦。
おそろいの服を着たお父さんとちいさな男の子。
赤ちゃんを連れた若いカップル。
誇らしげに昆虫のかたちをしたぬいぐるみを見せてくれる、
隣の席の男の子。


恐ろしく幸福ないくつかの光景は。
なんでだろう。
私をいつも少し淋しい気分にさせる。


私のマチビトはまだこない。