朝。雪の気配で目が覚める。
カーテンの隙間から覗くと。
強い風に舞うたくさんの雪。

東京でこんなにも雪が降るのは。
久々な気がする。

見ているだけで寒くなってきて。
私はもう一度。
あたたかいベッドにもぐりこむ。

雪の気配のこと。

雪国で育ったひとならば。
きっとわかるだろう。

雪が降っている朝は。
しんと静かで音がない。
でもそこにはちゃんと。
雪の気配があるのだ。ひっそりと。

毎日毎日雪が降るところで暮らしていると。
雪はちっとも嬉しくない。
嬉しくないけれど。
それでも降り続ける雪を。
寒さも忘れてずうっと見上げていた、たくさんの日々のこと。
雪の気配で目覚めた日。
障子を開ける前に、雪が積もっているかを。
ひとり当てっこした朝のこと。

そんな幼い日のことを。
少し懐かしく思う、雪の朝。