いろいろあって。
そのとき私たちは空腹の絶頂だった。
しかしそこは女4人北海道グルメツアー。
そんじょそこらの店に入るわけにはいかない。
いかないけれど。
それでもとてもお腹が空いていた。
次の目的地は相当期待している美瑛のオーベルジュ。
ただしそこに辿りつくまでにはまだまだ時間がかかる。
そこで。
通りがかりの(ただし正確にいうと地元のおいしいもの好きが読む雑誌には載っていた)、北星茶寮という店に入ることにした。
そこは地方の観光地にありがちな陶芸工房とショップを兼ねているカフェで。
こういう店は当たりはずれが大きく、かつはずれの割合がとても高い。
したがって私は(たぶん友人も)、あまり期待せずに店に入った。
しかしドアを開けた瞬間から〝当たり〟の予感が漂う。
併設の窯で焼いたと思われる焼き物はどれもとても素敵で。
インテリアも品が良い。
高台からのぞむ景色も素晴らしい。
ティーメニューのオープンサンドをいただいたのだけれど。
サーモンとアボガドのサンドもグリュイエールチーズをつかったウィンナーサンドも。
どちらもとてもおいしかった。もちろんコーヒーも。
とてもお腹が空いていた、その事実を差し引いたとしても。
満足に余りある力強い味。
これなら他のメニューもどれもおいしいだろうな。
そう思わせられるものだった。
その店は。店主が50代になってから開いたお店で。
茶廊、ではなく茶寮、なのは。
いつか〝寮〟のはたらきを持たせたいという意味から、と案内に書いてあり。
店主がそう思うに至った背景に僭越ながら思いを馳せるとき。
それが実現するといいなと思う。
そして次にくるときにはもしかしたら。
もう〝寮〟になっているかもしれない。
そんなふうに思いながら店を後にする。