いまでは信じられないことだけれど。
中学生か高校生のときの2年間近く。
父と殆ど口をきかなかったことがある。
理由もきっかけも正確な時期さえも。
もう忘れてしまった。
ただこれだけはわかる。
それがどんなに父を傷つけるのか
想像するちからがそのときの私にはなかったということ。
大学生になってやっと。
あのときはごめんねと。謝ることができた。
以前のように話をするようになってからも。
気恥ずかしくてきちんと謝ることができないでいたのだ。
父は。その日。
女の子はみんなそんなものだから。
といって。でも少しだけ泣いた。
そして私も。
元来、父は。涙もろいひとではあるのだけれど。
一人暮らしをはじめてから。
いつからかずっとプリンをお土産に帰省している。
父の好物、モロゾフのカスタードプリン。
以前、お土産に買って帰ったら。
当時体調が悪くてあまりものを食べたがらなかった父が、
あの大きなプリンを一気に2個も食べてしまった。
それからはいつもお土産にプリンを添える。
いまでこそ大きめのスーパーマーケットで手に入るモロゾフも。
そのころ田舎では手に入らなかったのだ。
だから東京駅の構内で。
いつもモロゾフのカスタードプリンを買って帰った。
いまは手に入れば。
ルタオの小樽ジャージープリンを買っていく。
もうすぐ年末。
今年も父に。プリンを買って帰る冬の日。