釣りの後、しばらく休んでから西表温泉へ。
ものすごく広い温泉は、訪れた時間のせいか誰もいない。
大きな大きな露天風呂。
森に囲まれた温泉にゆっくりと浸かる。
うっそうとした真っ暗な森からは、さまざまな獣や鳥の声。
この森に。まだ誰も知らないどうぶつやなにかがいたとしても。
おかしくないよね。
たとえば小人とか。ムーミントロールとか。
そういう私に。
恋人はおかしそうに笑う。
なんやそのトロールっていうのは。
ほんまに変なことばっかり知ってるな、いつも。と。
なんだか嬉しくなって。
ムーミン谷のことやバーバパパファミリーのことを教えてあげる。
東京から遠く離れた西表で。
温泉に浸かりながら話す、ムーミントロールとバーバパパ。
お風呂からあがり。
宿に戻るためにしばらく大きな道を走る。
すると。森のなかから不意に。
どうぶつが現れる。
それは一見してイリオモテヤマネコ。
あまりのことに呆然とする。
one oceanのひとも、10年住んでまだ見たことがないと言っていたヤマネコ。
ふつうの猫と全然違う、しなやかで引き締まった肢体。
猫というよりは豹や虎に似ている。
耳の位置や大きさや動作も。猫よりはずっと豹に近い。
でももちろん豹よりはずっと小さい。
突然のこと過ぎて、写真を撮るのも忘れ。
あとあとまで恋人と悔しがる。
途中の店で食事をとり、宿に着く。
スーパーで買ったおやつを食べながら。
今日一日の楽しかったことを振り返る。
たくさんの幸せなことを。
バラス島の海と珊瑚。