先週の中ごろ。
実家から桃が送られてきた。
大きな白桃。
私の実家のまわりはほとんど農家だし、
子供のころは実家に青果市場があったこともあり。
おいしい果物が手に入るのだ。
毎年、季節になると。
両親が近所のいくつかのお宅でつくっている果物を送ってくれる。
夏には桃。初秋の巨砲。
晩秋を告げる林檎。
宅急便の箱をあけると。
季節の果物の芳醇な香りがひろがる。
鮮度が高い果物は。
香りも見た目も。もちろん味わいも全然違う。
ひとりでは食べきれないし。
それにおいしいものは誰かとわかちあいたいものだ。
だから私は。果物が届くと。
毎回、大切なひとたちに。
少しずつおすそわけをする。
母も心得ていて。
あのひとにも食べてもらってねと。毎年恋人や友人の名前をいう。
おすそわけ。
おすそわけは。
こころを配ることだ。
大切なひととわかちあう、あたたかい気持ち。
週末。
恋人に桃をおすそわけした。
ふたりで食べる、はじめての故郷の白桃。
去年。恋人に巨砲をおすそわけしたことを思い出す。
まだ恋人が後輩だった頃。
はじめでふたりで出かけた日。
待ち合わせをした駅のコインロッカーに巨砲を預けたときのこと。
もうすぐまた。
巨砲の季節がめぐってくる。