金曜日に友だちと飲みに行き。
味覚の変化について話題になった。


子供の頃は嫌いだったのに好きになったものについて。


たとえば友人は、納豆、レーズン、野菜、餡子が苦手だったけれど。
いまでは野菜は食べられるようになった。
納豆とレーズンはいまでも食べられないそうだけれど。


私が苦手だったものは。
天ぷら、おでん、煮物、鍋物、餡子、それに野菜全般。
餡子がいっぱいのお汁粉は未だに食べられないけれど。
それ以外はいまではどれもきちんと食べられるし、おいしいとすら思う。


子供の頃。

私の家は食生活にとても煩い家だったから。
もちろん偏食なんて許されなかった。
食べ終わるまで席を立ってはいけなかったし、しまいには泣きながら野菜を食べていた。


学校の給食ももちろん苦手で。
ほかの子供たちが喜んで待っている給食の時間は。殆ど拷問に近かった。
食べるのも遅かったし、小学校の頃はからだがとても小さかったから(6年間ずっと背の順はいちばん前だった)、したがって食べられる量もとても少なかったのだ。


担任の先生は、全部食べ終わるまで許してくれないひとだった。
だから。給食が終わり。食後の20分休み、その後の掃除が終わっても。

食べ終わらないことがしばしばで。


校庭で子供たちの嬌声が響くなか。
冷めてしまった給食を食べ続けた。


大きなコッペパンを薄くつぶせば小さくなると本気で信じて。
ぺったんこにつぶして食べたりした。
私と同じくらいにからだが小さくて食べるのが遅い、確かみのるくんという名前の男の子がいて。
どちらが早く食べられるか、ときには競争をしたりした。


いまの小学校では。
食べ終わるまで席を立ってはいけないなんていうことは。
きっとないんだろうけれど。


でもいまの私の。
風邪ひとつひかない丈夫なからだのおおもとは。
間違いなくこの偏食矯正プログラムによるものだと思うのだ。
なにしろいまのからだは。過去の食生活に基づいているのだから。


だからこの方針は。
強ち間違ったものではなかったのだろう。


食べ終わるまで。
席を立ってはいけません。