ラス・チカスの魅力はいくつでもある。
表参道という立地。
だけれども静かな住宅街であること。
アフリカ大使の私邸だったという古い洋館。
高い天井。
シックでモダンな室内。
居心地のいいソファ。
スイタイリッシュなバー。
耳に心地いいひとびとのざわめき。
渾沌のなかにある共鳴。
老舗のカフェバーとしてあまりに有名なこの店の。
でももっとも大きな魅力は、その中庭だろう。
中庭には、いくつかの樹木が植えられている。
路地に面した席に座ると。
目の前にある家の屋上の木々の借景もできるから、少しお得な気分。
この季節はパラソルがきれい。
吹き抜ける風が肌に気持ちいい。
まわりには大きな建物がないから。
テラス席に座ると、ぽっかりとした空が見える。
あまり混みあっていない平日の昼間に。
ここに座って空を見上げるのが好きだ。
いろいろなことを忘れられる。
空に向かって開かれた場所。
外国人留学生のアルバイト先として定番だったというこの店は。そのせいもあって、スタッフもお客さんも半分以上は外国人で占められる。
古びた洋館で外国人に囲まれていると。
ここはどこなんだろう。
それが一瞬わからなくなる。
いつもどこか陽気で明るい彼らを横目で見ながら
ゆっくりとお茶を飲む。
その感じも悪くない。
空と風を感じながら
都会の喧騒と疲労にひと呼吸おける場所。
それが、ラス・チカス。
#ラス・チカス[表参道]